■年齢を重ねる女性に寄り添うヘアカラーを目指して

 カラーリストとなって25年。今なおトップを走り続ける岩上さんが、これから最も力を入れて取り組みたいと考えているのは「白髪を活かしたカラーデザイン」だ。 

「カラーリストになった20代の頃から、なぜ日本の女性は年齢を重ねると地味になっていくのだろうと疑問に思っていたんです。年齢を重ねたからこそ楽しめるファッションやヘアがあれば、女性はずっと輝いていけるはず。だから私は白髪を隠さず活かすヘアカラーを提案しているんです。大人の女性たちと新たなヘアカラーの文化を作りたい。私はこのために、キャリアを積んできたといっても過言ではないんです」(岩上さん)

 カラーリストの存在によって、年々進化を遂げるヘアカラー。kakimoto armsはそのパイオニアとしての役割を果たしてきた。しかし、「ヘアカラーは日本の女性たちのおかげで進化してきた」と、岩上さんは断言する。社会でも、家庭でも自分の役割を全うし、社会的地位を向上させてきた。そんな女性たちが自己表現の一環として、ヘアカラーを選んだ。ヘアカラーの技術の進歩は、日本の女性が自由を勝ち取ってきた証であるのかもしれない。そして活躍する女性の「自分らしく美しくありたい」という希望を、ヘアカラーの技術をもって答えてきた岩上さんのような存在があったからこそ、たった25年で日本のヘアカラーは進化できたのだろう。(文/三上由香利)