世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【写真】現地に立つ丸山ゴンザレス

ソウェト内の風景。貧しい人々が集まって暮らす。多くの人が仕事についておらず、コロナ騒動で失業者はさらに増えるとみられている
ソウェト内の風景。貧しい人々が集まって暮らす。多くの人が仕事についておらず、コロナ騒動で失業者はさらに増えるとみられている

■学校が襲われる!?

 世界ではロックダウンが緩和されていく流れも出始めているが、アフリカではまさにこれから新型コロナウイルスの感染が拡大していくとみられている。医療体制が脆弱な地域もあり、人口密集地区も多いことが主な理由だ。

 南アフリカ共和国の経済都市・ヨハネスブルグへは何度となく旅や取材で訪れている。現地の黒人居住区「ソウェト」で案内をしてくれたニャイコという若者とは現在も交流がある。帰国後も何度か連絡をとりあっていたのだが、最近になってあるニュースを見て思わず連絡した。

「ニャイコ、南アフリカで略奪が起きたらしいね」

「そうなんだよ」

 ロックダウンで仕事がストップし、収入が途絶えた人々が商店から物品を略奪したという。

「政府の援助がないから仕方ないんだ」

 不満を漏らすニャイコだが、政府からの食料の配給は一度だけあったらしい。

「どんなものが配給されたの?」

「rotten food parcel(腐った食料)」

 衝撃である。それはさておき、私がもっと衝撃だったことを聞いてみた。

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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