【プリセットWBを選ぶ】

 太陽光や電球など、被写体を照らす光源に合わせてあらかじめホワイトバランスの調整がセットされているのが、プリセットホワイトバランス。オートホワイトバランスも、光源を判別して適宜調整してくれるし、前ページの例のように雰囲気優先のモードなどもうまくできているので、プリセットホワイトバランスの必要性をあまり感じないかもしれない。

 しかし、オートの判断と自分の求める色が違うシチュエーションでは、プリセットホワイトバランスは、なかなか便利に使える。その代表的な例が、異なる光源が混在する場面だ。そのような場面では、どのような雰囲気を感じてその場を写そうとしているのかという自分の認識を、写真の色で意識することもひとつのポイントとなる。

オートホワイトバランスでの撮影(左)も悪くはないが、せっかく壁の白が印象的な空間なので、プリセットの「電球」に切り替えて撮影(右)。外光の入る部分のスッキリした青みも心地よい■ソニーα6600・16~55ミり F2.8・AE(30分の1秒・絞りf5)・ISOオート(撮影/まつうらやすし)
オートホワイトバランスでの撮影(左)も悪くはないが、せっかく壁の白が印象的な空間なので、プリセットの「電球」に切り替えて撮影(右)。外光の入る部分のスッキリした青みも心地よい■ソニーα6600・16~55ミり F2.8・AE(30分の1秒・絞りf5)・ISOオート(撮影/まつうらやすし)

 プリセットホワイトバランスは、色温度の異なる代表的な設定を選ぶということでもあるので、オート任せで撮影したときに、アンバーやブルーが目について気になるという場合に「ちょっとプリセットに切り替えて試してみよう」といった具合に使うのがおすすめだ。ホワイトバランスを常にオート任せにするのではなく、プリセットも使い慣れておくと、アンバーとブルーのバランスを意識しやすくなるという効果もある。この意識や感覚は、ホワイトバランスをとるときなど、ほかのホワイトバランス機能を使うときにも必要なものだ。

 脱オート任せのホワイトバランスの第一歩として、まずはプリセットホワイトバランスを積極的に使うのはおすすめなのである。(文/写真・まつうらやすし)

※『アサヒカメラ』2020年4月号より抜粋。本誌では「色温度」の基本から、ホワイトバランスの応用編まで6ページにわたって記事を掲載している。