一方、書店でも写真集を販売している。

「書店とは直接取引ですね。なるべく買い取りをしてもらう」。ただし、「ぼくはたくさんの書店に写真集を置いてもらいたいとは思っていないんです。買う人が来る店に置かないとしょうがない。でないと、ボロボロになって返本され、返ってくるだけなので」

 インターネットも活用している。

「ホームページやフェイスブックに新しい本ができましたからどうぞ。値段、送料はいくらですよ、と。みんな順々になくなっていって、売れ残る写真集はないですね」

 写真集を売るには、値づけも大切だと思うが、どうだろう。

「これまでの経験からいうと、高くても買う人は買うし、いくら安くても買わない人は買わないんですよ。3千円だと売れるけれど、3500円だと売れない、ということはないですね」

完成した写真集『OUTTAKES』
完成した写真集『OUTTAKES』

 上の写真の『OUTTAKES』は2千円だ。

「だいたい値段の3分の1くらいの費用でつくらないと写真集を出したときにまったく儲からなくなるので、それが写真集の値段の基準になります。1冊700円くらいでつくったら2千円で売る。アマチュアの人が個展会場で売り切るのであれば、もっと値段を下げてもいいと思います」

取材・文=米倉昭仁(アサヒカメラ編集部)

※『アサヒカメラ』2020年2月用より抜粋。本誌では印刷会社に直接依頼する制作方法の詳細や、世界40カ国以上でZINEの作品集を販売する「VoidTokyo」へのインタビューなども掲載している。