カピバラ
<br />パンタナール北部(ブラジル)■オリンパスOM-D E-M1MarkII・M.ズイコーデジタル ED 40 ~ 150ミリF2.8 PRO・ISO200・絞りf13・125分の1秒(撮影/岩合光昭)
<br />
カピバラ
パンタナール北部(ブラジル)■オリンパスOM-D E-M1MarkII・M.ズイコーデジタル ED 40 ~ 150ミリF2.8 PRO・ISO200・絞りf13・125分の1秒(撮影/岩合光昭)

 カピバラの家族が皆で同じ方向を向いている。真剣な顔で何を見ているのかと目をやると、対岸にジャガーがいた。パンタナールではカピバラを見ていると、ジャガーの存在がわかることがある。カピバラの顔がさっと変わり、緊張が走るとき、たいがい彼らの視線の先にはジャガーがいる。

【画像】まるで「チョコボール」? ブラジルのオオハシ

 パンタナールで印象的だったのは、カピバラが人を怖がらないということ。アマゾンでは数百メートル先でも逃げられてしまうのに、ここではお尻に手が届きそうな距離まで近寄ることができた。撮影の片腕になっていたガイドに聞くと「人の近くにいればジャガーに襲われない、と彼らはわかっているのさ」と言った。

 カピバラはやさしい動物で、普段はおっとりとしている。子どもをとても大切にし、家族は常に一緒だ。彼らを見ているとこちらまで和やかな気持ちになった。

写真・文=岩合光昭

※『アサヒカメラ』2020年1月号より

著者プロフィールを見る
岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

岩合光昭の記事一覧はこちら