タンジェ・ヴィル駅に入線した9時発の高速列車「アル・ボラク」カサブランカ行き。乗車前に4号車カフェテリアの前を行き交う乗客をスナップする。ところがこの直後に警備員が現れて、撮影禁止を告げられ、ガッカリ。気を取り直して乗車し、2階のカフェテリアへ。コーヒー1杯8ディルハム(約90円)などリーズナブルで美味■オリンパスOM-D E-M1 MarkII・12~100ミリF4・絞りf5.6・ISO64・AE・JPEGスーパーファイン(撮影/櫻井寛)
タンジェ・ヴィル駅に入線した9時発の高速列車「アル・ボラク」カサブランカ行き。乗車前に4号車カフェテリアの前を行き交う乗客をスナップする。ところがこの直後に警備員が現れて、撮影禁止を告げられ、ガッカリ。気を取り直して乗車し、2階のカフェテリアへ。コーヒー1杯8ディルハム(約90円)などリーズナブルで美味■オリンパスOM-D E-M1 MarkII・12~100ミリF4・絞りf5.6・ISO64・AE・JPEGスーパーファイン(撮影/櫻井寛)

 乗車するのは、9時ちょうど発の高速列車「アル・ボラク」カサブランカ行きである。「アル・ボラク」とはアラビア語で「高速」を意味するそうだが、最高速度は日本の東北新幹線E5系「はやぶさ」と同じ時速320キロというから素晴らしい。

 2018年11月にアフリカ大陸初の高速鉄道として開業したのだが、インフラはフランスのLGV(高速鉄道)、車両はアルストム社製のTGV・D(ダブルデッカー)である。この高速列車、中身は純フランス製ながら、車体のカラーリングはモロッコ国旗の朱赤をメインに、イスラムカラーのグリーンを配し、さらにアラビア文字が躍る外観はエキゾチシズムあふれるもの。

 だがしかし、撮影に夢中になっていると警備員が現れて、「駅構内はノーフォト」と制止された。22年前は、自由に撮れただけに、モロッコも世知辛くなったようだ。

写真・文=櫻井寛

※『アサヒカメラ』2019年12月号から抜粋