初号機X-Pro1から大きなデザイン変更がないのはProシリーズの特徴。精悍なスタイリング、かつ防塵・防滴構造採用。トップカバーとベースプレートはチタンとなり、より頑丈なイメージに。APS-C機としてはわずかに横に広く感じるようになった。多少詰めてほしいと思うが限界なのだろうか(撮影/赤城耕一)
初号機X-Pro1から大きなデザイン変更がないのはProシリーズの特徴。精悍なスタイリング、かつ防塵・防滴構造採用。トップカバーとベースプレートはチタンとなり、より頑丈なイメージに。APS-C機としてはわずかに横に広く感じるようになった。多少詰めてほしいと思うが限界なのだろうか(撮影/赤城耕一)

 話題の“ヘンタイ”カメラ、富士フイルムX-Pro3がデビューした。X-Proシリーズの3代目として、何が注目されているのか……改めて言うまでもなく発表当初から注目されているのは、本機で撮影後に背面液晶モニターで画像を確認するためには面倒な手順が必要ということ。デフォルトでは、背面の液晶モニターは裏側に収納され見ることができない。代わってそこにあるのは小さなサブモニター。ここにはフィルムのパッケージに似た絵柄がおぼろげな明るさで常時表示されている。

【写真】14ミリ単焦点レンズ(35ミリ判で21ミリ相当)を装着し、買い物客でにぎわう商店街で撮影。作例はこちら!

背面のサブモニターに映るフィルムパッケージふうの表示が面白い。ただ、バックライトがないため、表示は暗め。メインスイッチを切っても表示されたままである(撮影/赤城耕一)
背面のサブモニターに映るフィルムパッケージふうの表示が面白い。ただ、バックライトがないため、表示は暗め。メインスイッチを切っても表示されたままである(撮影/赤城耕一)

 液晶モニターを見るには下方に180度チルトさせる。ところが回転は不可能。ライブビュー撮影をするにはモニターのフタを開いたまま不格好な撮影スタイルとなる。液晶モニターを収納した状態では、ファインダー内で撮影画像を再生確認するしかない。撮影は原則としてファインダーをお使いくださいということだ。

液晶モニターを引き出した状態。ライブビュー撮影は可能だが、だらしないスタイルになる。ファインダー内でも撮影画像確認や各種の設定はできるが、しっかりとした画像確認は液晶モニターのほうが当然見やすい(撮影/赤城耕一)
液晶モニターを引き出した状態。ライブビュー撮影は可能だが、だらしないスタイルになる。ファインダー内でも撮影画像確認や各種の設定はできるが、しっかりとした画像確認は液晶モニターのほうが当然見やすい(撮影/赤城耕一)

 ファインダーはEVF(電子ビューファインダー)とOVF(光学ファインダー)切り替え式のアドバンストハイブリッドビューファインダー。
 EVFは0.5型・約369万ドットの有機EL。倍率は0.66倍。アイポイントは約16.8ミリ。OVFの倍率は約0.52倍。変倍ファインダー方式は採用せず、23/27/35ミリレンズ装着時のパフォーマンスを最も重視した、すなわち広角から標準レンズまでの画角に最も使いやすく設計されている。これは正解だろう。

「エレクトロニックレンジファインダー」ではOVF時にEVFを小窓化して表示。フォーカスの確認や露出、WBの確認が可能(撮影/赤城耕一)
「エレクトロニックレンジファインダー」ではOVF時にEVFを小窓化して表示。フォーカスの確認や露出、WBの確認が可能(撮影/赤城耕一)

 Mシリーズライカと同様、素通しに近いOVFで長焦点レンズを使用する場合、ブライトフレームでフレーミングするのは容易ではない。潔くEVFに切り替えれば確実なフレーミングを行うことができる。

 結論づければ背面に液晶モニターがなくてもそれを認めることができるのかどうかがX-Pro3の評価の分かれ目になる。撮影画像をすぐに確かめることのできるデジカメの利便性を捨ててまで使う必要があるのか。本機をあえてヘンタイと呼ばせてもらいたい理由もここにある。

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「X-Pro3」実際の使用感は?