走古丹で。気温零下23度。朝焼けの中、群れに追いつこうと走り始めたエゾシカ親子。動感を出すために遅めのシャッタースピードをチョイス。十分な距離を置いて撮影するため800ミリの超望遠レンズを使った■キヤノンEOS R・EF800ミリF5.6L IS USM・ISO1600・絞り開放・80分の1秒
走古丹で。気温零下23度。朝焼けの中、群れに追いつこうと走り始めたエゾシカ親子。動感を出すために遅めのシャッタースピードをチョイス。十分な距離を置いて撮影するため800ミリの超望遠レンズを使った■キヤノンEOS R・EF800ミリF5.6L IS USM・ISO1600・絞り開放・80分の1秒

【北海道・釧路、根室地方】エゾシカ、タンチョウ

 冬の北海道は動物写真好きには魅力的な場所だ。エゾシカやタンチョウ、ワシ類、ハクチョウなど、大型でダイナミックな動物たちが撮影できるからだ。撮影ポイントの情報も多く、入門者にとってもよいスキルアップの場となる。

 撮影時期は被写体の種類にもよるが1、2月の厳冬期がいいだろう。零下20度の極寒は経験したことのない美しい世界を見せてくれるはずだ。

 広い北海道では車移動が基本になる。レンタカーで撮影スポットをめぐるのもよいが、冬道の運転リスクを考えれば撮影ツアーを検討するのもいいだろう。多くのツアーが開催される時期で、効率よく撮影スポットを巡ることができる。

野付半島で。立派な角を持ったオスジカの角合わせ。迫力ある部分を切り取るため1120ミリを使用。目にピントが合うように注意してチャンスを待った。戦う目にいちばん力が入ったところでシャッターを切っていく■キヤノンEOS R・EF800ミリF5.6L IS USM+エクステンダー1.4×・ISO800・絞り開放・250分の1秒
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野付半島で。立派な角を持ったオスジカの角合わせ。迫力ある部分を切り取るため1120ミリを使用。目にピントが合うように注意してチャンスを待った。戦う目にいちばん力が入ったところでシャッターを切っていく■キヤノンEOS R・EF800ミリF5.6L IS USM+エクステンダー1.4×・ISO800・絞り開放・250分の1秒

 レンズは16~35ミリのワイドズーム、24~105ミリの標準ズーム、100~400ミリの望遠ズームと1.4倍のテレコンバーターが基本。800ミリクラスがあれば理想的だ。極寒なので予備バッテリーや防寒着の準備をしっかりすること。

雪裡川で。撮影地として有名なタンチョウの寝ぐらとなっている川だ。零下20度以下の晴れた朝には川霧が上って幻想的な写真が撮れる。撮影は決められた橋からのみ。500ミリ以上の超望遠レンズがあるとバリエーションが撮れる■キヤノンEOS R・EF800ミリF5.6L IS USM・ISO1600・絞り開放・250分の1秒
雪裡川で。撮影地として有名なタンチョウの寝ぐらとなっている川だ。零下20度以下の晴れた朝には川霧が上って幻想的な写真が撮れる。撮影は決められた橋からのみ。500ミリ以上の超望遠レンズがあるとバリエーションが撮れる■キヤノンEOS R・EF800ミリF5.6L IS USM・ISO1600・絞り開放・250分の1秒

 せっかく北海道まで行くのだからと、何カ所も訪れる人もいるが、私は1、2カ所に絞って時間をかけて撮影したほうが動物の動きがつかめ、撮影結果はよいと思う。

【茨城県水戸市】ハクチョウ

眠りから覚めてウォーミングアップをした後は家族単位でゆったりと過ごす。その穏やかな感じを表したかった。朝日が直接当たるとコントラストが強くなりすぎるので光のラインから少し外れた場所をねらった■キヤノンEOS R・EF200~400ミリF4L IS USM+エクステンダー 1.4×・ISO800・絞り開放・AE・プラス1補正
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眠りから覚めてウォーミングアップをした後は家族単位でゆったりと過ごす。その穏やかな感じを表したかった。朝日が直接当たるとコントラストが強くなりすぎるので光のラインから少し外れた場所をねらった■キヤノンEOS R・EF200~400ミリF4L IS USM+エクステンダー 1.4×・ISO800・絞り開放・AE・プラス1補正

 関東近郊にはハクチョウが越冬に集まる湖や池がたくさんある。私は水戸市周辺の池がお気に入り。朝日が差し込む時間が撮影のチャンスとなる池が多いので、黄金色に輝く中、いっせいに飛び立つシーンや力強い羽ばたきのシーンがねらえる。

 越冬のために渡ってくる11月末ごろから、北の繁殖地へ帰る3月上旬ごろまでが撮影シーズン。ハクチョウは気が強く、縄張りに入ってきた個体を激しく攻撃する性格の持ち主。動きのあるシーンをねらうには繁殖地から渡ってきたばかりの縄張り意識が強い時期がいい。

 池で休んでいる個体がいる場所にほかの個体が降りてくると激しいけんかが起きる。こんなシーンが撮影のねらい目だ。

1120ミリで飛び立つ姿の一部分を切りとった。印象を強くするためスローシャッターで流し撮りをした。しっかりした三脚と滑らかに回転する雲台が必須だ。成功率が低いのでたくさん撮るしかない■キヤノンEOS-1D X Mark II・EF800ミリF5.6L IS USM+エクステンダー1.4×・ISO100・絞りf45・5分の1秒
1120ミリで飛び立つ姿の一部分を切りとった。印象を強くするためスローシャッターで流し撮りをした。しっかりした三脚と滑らかに回転する雲台が必須だ。成功率が低いのでたくさん撮るしかない■キヤノンEOS-1D X Mark II・EF800ミリF5.6L IS USM+エクステンダー1.4×・ISO100・絞りf45・5分の1秒

 比較的近距離から撮影でき、100~400ミリクラスのレンズでも十分楽しめるが、超望遠も欲しいところ。

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ハクチョウ撮影のポイントは?