3月11日から4月1日までの間、24時間態勢で動いていたから、ほとんど寝ていなかった。全国の仲間からひっきりなしに連絡がきて、海外からも支援をしたいという声がたくさん届き、実際にボクの家で被災した人を受け入れたり、仲間もずっと出入りしていたから。


 
 でも、その後の方がきつかった。ゴシップやそういうネタを書いて商売しようとする人が、必ず攻撃してくるだろうと覚悟はしていたけど、自分の想像を超えていた。人の汗のかき方に文句をつけ、挙句の果てにボクが義援金を盗んだとまで言われ……。参った。悲しいを通り越して、笑ったよ。本末転倒ってこういうことを言うんだなとさえ思った。
(撮影/伊ケ崎忍)
(撮影/伊ケ崎忍)

 バンドのメンバーにも「辛くないのか」って聞かれたんだけど、優しさを誰かに提供するとき、それ以降に起こることを受け入れる覚悟と責任が伴う。例えば、車を運転していて、車線変更ができない人に道を譲ったとする。何も起こらなければ親切な行為になるけど、その人が急ブレーキを踏んで自分が追突したとする。怒って降りてきて「どこみて運転してるんだ」って言われたら、どうするか? 「入れなきゃよかった」って思うなら、そもそも覚悟が足りないってこと。
 
 もちろん見返りを求めることはないけれど、それどころか仇となって返ってきたり、よくわからないことで攻撃されたりすることもある。それを含めて受け入れる覚悟が無ければ、そもそもやるべきじゃない。
 
――今回の「首里城再建グッズ」も、その覚悟で?
 
 ボクがやるべきことはやる。再建のリーダーではないから、首里城を再建する人たちの手伝いがほんの少しでもできるなら、その部分をボクは担う。
 
 いまだにネットでは義援金を盗んだとか散々書かれて、それが海外のニュースに載ったりしてうんざりはしてる。自分がやったこと以上に叩かれるし、ネガティブな噂はどんどん流れるし。まあ、それもしょうがないな(笑)。
 
――最後に、沖縄の将来について、こうなってほしいという希望があれば教えて下さい。
 
 沖縄に対してというより、沖縄に住んでいる人に対してですが、ウチナーンチュとしての誇りを忘れないでほしい。沖縄人として守らなければいけないことって何なんだろうと、この機会に考えてみてほしい。
 
 歴史的な問題も含むからあまりボクが言うべきことではないかもしれないけど、ボクらはある意味でいろんな歴史の壁を受け入れてここまで来た。だからいまこの平和な時代に、一番、平和ボケちゃいけない。過去を振り返り、危機感を持たなければいけないし、沖縄人としてやらなきゃいけないことは何なのか考え直すとき。ボクはそう思う。
 
(聞き手/AERA dot.編集部・金城珠代)