「Peninsula 釜山」ニコンF3P・35ミリF2・トライX(撮影/百々新)
「Peninsula 釜山」ニコンF3P・35ミリF2・トライX(撮影/百々新)

Q5:被写体との距離はどうしていますか?

百々:その場に僕がいることは「異物」ですから、とても意識します。撮った後、会釈するなど、他者の領域での態度をものすごく意識しながら撮影しています。

Q6:被写界深度の調整を含め、背景はどう扱っていますか?

百々:距離のとり方によってさまざまに変化しますが、あまり省略せずに入れようとしていますね。ただその整理も配置も完璧であればいいというわけではないと思っています。

Q7:街中での撮影で見知らぬ人を撮影する(した)際、どうしていますか?(肖像権についての考えがあれば併せてお聞きいたします)

百々:常に堂々と撮り、撮影後に挨拶をしますね。国内の場合は声を掛けたり、写真を渡したりする場合もあります。ただ、取材のようになっても面白くない。日常をどう撮るかは、永遠の課題ですね。

Q8:撮影のコツやテクニックはありますか? できるかぎり具体的にお願いします。

百々:僕は体も大きいですが、街中ならば5分もすると周りが意識しなくなる。そう認知されると自分が透明になります。その瞬間に撮るんです。

聞き手=池谷修一(アサヒカメラ編集部)
写真=百々新

◯百々新(どど・あらた)1974年、大阪府生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、現博報堂プロダクツ入社。2013年、木村伊兵衛写真賞受賞。写真集に『上海の流儀』『対岸』『鬼にも福にも もうひとつの京都』など。
■写真展「WHITE MAP-on the Silk Road-」11月2日~20年1月13日 入江泰吉記念奈良市写真美術館 河瀨直美(映画監督)とのトークは初日14時~。

※『アサヒカメラ』2019年11月号より抜粋