世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【写真】人気風俗嬢だというお二人

お店の外には使用済みのコンドームが散乱していた。ちなみに朝のことである
お店の外には使用済みのコンドームが散乱していた。ちなみに朝のことである

■なぜ孤島に風俗嬢が?

「異世界」のミギンゴ島について紹介してきたが、なかでも私が驚愕したのは、風俗嬢の存在である。

 ミギンゴ島はアフリカのビクトリア湖に浮かぶ絶海の孤島である。そんなところに風俗嬢とは、いったいどういうことなのか。その実態を解説したい。

 まず、客は島内の漁師である。これは間違いない。彼らの金を目当てに女性が集まっているからだ。島で売春というと、強制的に連行された女性たちの人身売買を想像する。ところが、私が島で聞いたのは、彼女たちは自ら望んで来ているということだ。

「島に来るまで2年待ったわ。ここは人気だから順番待ちなの」

 ここでは、2~3カ月で本土の1年分以上の儲けがあるそうだ。親戚などのコネを使って島に渡ってきて、稼げるだけ稼いでいくという。

地球じゃないみたいなミギンゴ島に風俗店があった。この写真の二人は人気嬢です
地球じゃないみたいなミギンゴ島に風俗店があった。この写真の二人は人気嬢です

■風俗店は飲み屋だった!

 風俗が商売として成り立っているのはわかった。だが島の限られた面積では、正直なところプレイする場所が見当たらない。島の連中に聞くと、「店の中だよ」と一軒の店を教えてくれた。

 建物は、トタンと木枠を組み合わせた簡素なつくりで、窓とドアを閉めると完全な密室になる。そこをプレイルームとして使うということなのだ。

 この店の営業スタイルは昼間は飲み屋で、風俗嬢たちも店員として働いているという。漁師たちは仕事終わりに飲むので、昼間でも営業しているのだ。ただ、売春のために訪れる客が多いのは夜中で、朝まで営業するのだとか。

 それを証明するかのように、明け方の店の周りには、使用済みのコンドームが散乱していた。

 人の営みはどこも同じ。どんな場所でも性はビジネスになることを学んだのだった。(文/丸山ゴンザレス)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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