世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【閲覧注意】グロい!ゴンザレスが食べたほとんどヒナのゆで卵

何度も目をこすった。自分の視力を疑ったわけだが、それもそのはず。ありえない組み合わせが料理として販売されていたからだ。スパゲティとドーナツ。「アメリカってやべえ」と思いました
何度も目をこすった。自分の視力を疑ったわけだが、それもそのはず。ありえない組み合わせが料理として販売されていたからだ。スパゲティとドーナツ。「アメリカってやべえ」と思いました

■パスタがドーナツ? その発想はなかった!

 ニューヨークのブルックリンで毎週末開催されている食のフリーマーケット「スモーガスバーグ」。会場となるイーストリバー沿いの公園には多くの屋台が並ぶ。

 ここは将来の成功を夢見て出店する挑戦的な屋台が多く、NY発のフードに敏感な日本人の今後のトレンドをさぐるには最適な場所になっている。正直、トレンドに疎いところがある私としては、何が流行しているとかはあまりわからない。それでも、何度か訪れており、毎度のことながら食欲に任せて食べまくってきた。

 そんな折、今年の春に訪問して衝撃的な出会いがあった。それが、「ポップパスタ(POP PASTA)」で販売されていたスパゲティドーナツである。

 何種類か販売されていて、最初は何かと思ったが、サンプルをみる限りはおいしそうな感じもする。せっかくなので、一番想像がつかないカルボナーラ味を注文することにした。

 ドーナツと言えば、子供の頃から見てきたアメリカの映画に登場する警察官の朝飯のイメージが強い。ピザやホットドッグと並んでアメリカの国民食といってもいいだろう。一方で私は和菓子派(アンコが好き)のため、ほとんど食べることはない。

 手元に届いたドーナツはアツアツだったが、遠慮なくかぶりつく。食感は間違いなくスパゲティ。味はカルボナーラ。気持ち塩味が薄いぐらい。咀嚼していると口内で麺がほどけていく。水で流し込む際ののど越しはスパゲティのそれであった。

 正直、「まあ、こんなものかな」とは思うが、発想は素晴らしいと思う。片手でパスタを食べるという合理的な考え方は、いかにもアメリカらしい発想である。

 あとから調べてみるとイタリアの郷土料理スパゲティパイ(残り物のパスタを卵とかチーズで絡めて揚げたものらしく、おいしそうだ)から着想を得た料理だそうで、新しいアメリカの国民食を生み出そうというコンセプトらしい。

 このスパゲティドーナツだが、すでに日本にも上陸しているという。「NY発」に弱い日本人ならではの反応の早さが面白いと同時に、食文化の無限の可能性を感じざるを得ない。(文/丸山ゴンザレス)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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