「ポッポの丘」で保存展示されている、大山観光電鉄のケーブルカー「たんざわ号」(C)朝日新聞社
「ポッポの丘」で保存展示されている、大山観光電鉄のケーブルカー「たんざわ号」(C)朝日新聞社

○ルートB(内房線から外房線へ)
東京8:38発→千葉9:19着(総武本線快速)
千葉9:23発→9:41着(内房線)
五井9:50発→10:18着(小湊鐵道)
上総牛久10:25発→養老渓谷11:23着(小湊鐵道・房総里山トロッコ1号)
養老渓谷12:27発→上総中野12:34着(小湊鐵道)
上総中野13:00→国吉13:45着(いすみ鉄道)
国吉発→ポッポの丘着(タクシー約15分)

★ポッポの丘 観光

ポッポの丘発→国吉着(タクシー約15分)
国吉15:46発→大原16:05着(いすみ鉄道)
大原16:29発→勝浦16:44着(外房線)

★勝浦 観光/夕食など

勝浦19:21発→上総一宮19:52着(外房線)
上総一宮19:55発→東京21:22着(外房線・総武本線快速)
※大原~上総中野~五井間には小湊鐵道、いすみ鉄道の2社に有効の「房総横断乗車券」(1700円)も便利

 このルートBのコースでは、「青春18きっぷ」を東京~大原間と五井~東京間(逆ルートも可)で使用。大原~五井間をいすみ鉄道と小湊鉄道で結ぶルートとしてみた。JR区間の合計運賃は2630円(148.7km)で元取りをクリア。いすみ鉄道のキハ20形気動車やキハ20形+キハ58形気動車の急行(土休日運転)、小湊鉄道の「里山トロッコ号」(3~12月の主な金土休日運転)を組み合わせれば、充実度もアップするはずだ。モデルプランでは、勝浦に足を延ばして散策や夕食タイムとしてみたが、大多喜の城下町散歩や、駅から徒歩2分ほどの「房総中央鉄道館」で鉄道ジオラマなどを満喫するのもおススメだ。

飯田線では中央アルプスの絶景を臨むことができる(C)朝日新聞社
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飯田線では中央アルプスの絶景を臨むことができる(C)朝日新聞社

■「最後まで最大限にチャレンジしたい!?」~長距離チャレンジプラン~

「最後の1日だからこそ極限を目指したい!」と、つい気合が入ってしまうのも「青春18きっぷ」の“魔力”かもしれない。

 この場合は、途中下車などの沿線散策よりも「長く乗る」ことを主眼とするので、乗っているだけでも楽しい路線と列車を選びたい……ということで「飯田線全線を走破する周遊ルート」を検証してみた。

 飯田線は天竜川沿いの山深い渓谷美や、人里から隔絶されたような“秘境駅”などなど、見どころの多い山岳路線。全線195.7kmを走破する長距離普通列車が複数運転されているのも魅力で、「青春18きっぷ」に限らず、鉄道ファンには人気の高い路線のひとつだ。

○ルートA(東海道線経由)
東京8:24発→熱海10:07着(東海道本線)
熱海10:16発→興津11:13着(東海道本線)
興津11:25発→浜松12:56着(東海道本線)
浜松13:02発→豊橋13:36着(東海道本線)
豊橋13:42発→天竜峡17:16着(飯田線)
天竜峡17:18発→岡谷20:02着(飯田線)
岡谷20:06発→甲府21:33着(中央本線)
甲府21:36発→高尾23:00着(中央本線)
高尾23:05発→東京24:19着(中央線快速)

○ルートB(中央本線経由)
東京7:27発→高尾8:35着(中央線快速)
高尾8:46発→小淵沢11:08着(中央本線)
小淵沢11:37発→岡谷12:25着(中央本線)
岡谷12:28発→天竜峡15:09着(飯田線)
天竜峡15:11発→豊橋18:24着(飯田線)
豊橋18:31発→浜松19:07着(東海道本線)
浜松19:19発→熱海21:50着(東海道本線)
熱海22:09発→東京23:46着(東海道本線)

 上記のルートAは東海道本線から、ルートBは中央本線からの乗り継ぎプランとしてある。特にルートAは、東京発を郊外からの乗り継ぎが可能な時間帯とした。

 飯田線列車をルートAは豊橋発10時42分、ルートBは岡谷発10時46分とそれぞれ1本早めると、同線内での途中下車も容易になるのだが、前者は東京発5時20分、後者は東京発5時43分となり、東京駅までの足がネックとなる。自宅が東海道本線や中央本線沿線であれば、早起きしてこれらの列車を目指してみたいところだ。

 ルートBの中央本線からのアプローチでは、浜松~静岡間で「ホームライナー静岡6号」の利用も可能。また、余力とやる気があれば、沼津~国府津間を御殿場線経由もでき、東京には24時58分に到着する。普通運賃では1万480円(709.2キロメートル/運賃計算キロ728.8キロメートル)かかる長距離を、わずか2370円で満喫できるのは、やはり「青春18きっぷ」の旅ならではである。

 今回は、タイプ別に「青春18きっぷ」のワンデートリップコースを練ってみたが、使いかたはそれこそ無限にある。要は1枚(5日/人)で1万1850円分以上乗ればおトクになるのが「青春18きっぷ」だ。迫る期限と向き合いながら、『時刻表』を駆使して自分だけのとっておきのプランを練ってみるのもまた楽しいだろう。

○植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。