1986年に運行を開始した東海道本線の「湘南ライナー」。平日の朝・夕に運転され、特急形の185系も使用されている(撮影/北村 光)
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1986年に運行を開始した東海道本線の「湘南ライナー」。平日の朝・夕に運転され、特急形の185系も使用されている(撮影/北村 光)

 先日公開した「『隠れ特急』って何だ?」では「青春18きっぷ」の乗り得列車として、特例乗車制度のある特急と特急形車両を用いた普通列車を紹介したが、ここでもうひとつ注目したいのが、いわゆる「ライナー系列車」だ。「ホームライナー」などの愛称で運行され、乗車券のほかに「乗車整理券」「ライナー券」などを要する定員制の列車を解説する。

【表】全国のライナー系列車一覧はこちら

※青春18きっぷで特急を楽しめる「乗り得列車」が話題に

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■車両もダイヤも特急そのもの

 ライナー系列車は、主に通勤時間帯における着席サービスの向上を目的に導入されてきた。「乗車整理券」などの追加料金を支払うことによって、混雑時間帯の座席確保を約束するもので、例外はあるものの、特急形車両が用いられるケースが多いのも特徴といえるだろう。

 車両や停車駅などを見ると、特急との違いがわかりづらい面もある列車だが、普通列車扱いのため「青春18きっぷ」でも「乗車整理券」などを購入すれば利用することができる(「湘南ライナー」などのグリーン車は普通列車用の自由席グリーン券で乗車可能)。つまり、ライナー系列車も「乗り得列車」の仲間という訳で、ぜひ「青春18きっぷ」の旅程に組み入れてみたい。

 ライナー系列車が登場したのは国鉄時代の1984年。特急列車の回送を生かす形で上野~大宮間で運行を開始した定員制列車は、のちに「ホームライナー大宮」と命名され、ニュータイプの通勤列車として話題を呼ぶとともに好評を得て通勤客らに受け入れられた。

 同タイプの列車は総武本線の「ホームライナー津田沼」や阪和線の「ホームライナーいずみ」などに拡大。当初の回送列車の活用という枠を越えて各地にお目見えし、通勤列車の仲間として定着することとなったのである。

全国のライナー系列車一覧
全国のライナー系列車一覧

 現在の運行状況を表にまとめてみた。いくつかオススメの列車を見てみよう。

 東京~小田原間の「湘南ライナー」は、特急「踊り子」用の185系電車のほか、ハイデッカー車とダブルデッカー車で構成された215系電車が活躍中だ。215系はライナー列車用に開発された形式で、リクライニングのグリーン車とボックスシートの普通車で構成されている。かつては東海道本線の快速「アクティー」などでも運用されていたが、現在は「湘南ライナー」と「おはようライナー新宿」のほか臨時列車に限定されており、乗っておきたい列車ともいえそうだ。

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意外な長距離運用も