山手線から中央・総武線各駅停車に転属したE231系500番代。山手線用だった顔のE231系とカナリア色の帯の組み合わせも、だいぶ見慣れてきた(撮影/高橋 徹)
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山手線から中央・総武線各駅停車に転属したE231系500番代。山手線用だった顔のE231系とカナリア色の帯の組み合わせも、だいぶ見慣れてきた(撮影/高橋 徹)

 山手線にE235系が投入されて、首都圏の通勤電車が大きく変化していることにお気づきだろうか。実際に玉突きが起きると、車両や路線はどのように変わっていくのかを順に見ていこう。

【写真】置き換え、転属…各路線で生まれ変わった車両はこちら

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■101系の再来!? 山手線からあの路線へ

 2015年に登場した山手線のE235系は、2016年から本格投入され、それまでのE231系500番代の置き換えが始まった。離脱した車両は帯色をカナリア色(黄色)に変更され、11両編成から10両編成に短縮されて中央・総武線各駅停車に転属した。

 実は、中央・総武線各駅停車が「黄色い電車」になったのは、山手線に最初に投入された101系がカナリア色で、その色のまま転属したことに由来する。山手線には後継の103系がウグイス色(黄緑色)を採用し、現在のカラーにつながっている。山手線から中央・総武線各駅停車への転属は、101系の再来ともいえる流れといったら大げさだろうか。

中央・総武線各駅停車から武蔵野線に転属したE231系0番代。側面は205系と同じく3色の帯を巻く(写真:photolibrary)
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中央・総武線各駅停車から武蔵野線に転属したE231系0番代。側面は205系と同じく3色の帯を巻く(写真:photolibrary)

 中央・総武線各駅停車ではこれまで209系500番代とE231系0番代(ともに10両編成)が使われてきたが、どちらも8両編成に短縮されて武蔵野線に転属した車両(車番の変更はなし)と、4両編成の209系3500番代・E231系3000番代に改造されて川越線・八高線に転属した車両がある。また、E231系0番代の一部は6ドア車などのサハを外し、4M6Tから6M4Tに編成出力を強化して中央・総武線各駅停車に再投入されている。

■転属先はJR東日本管内に限らない

 E231系と209系500番代が投入された武蔵野線では、これまで活躍してきた205系が玉突きで転属することになるが、JRの他路線ではなくインドネシアのジャカルタに譲渡されることになった。新潟まで回送され、一部はすでにジャカルタに渡っている。

川越線・八高線へ転属したE231系0番代は、寒冷地対応などの改造が施され、3000番代となった(写真:PIXTA)
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川越線・八高線へ転属したE231系0番代は、寒冷地対応などの改造が施され、3000番代となった(写真:PIXTA)

 一方、川越線・八高線でも車両の置き換えが行われた。205系のうち2編成は、富士急行へ渡って6000系になったが、残る編成は廃車になった。209系3000番代も川越線・八高線から引退したが、車籍はないものの訓練車に改造されて安全輸送に貢献することになった車両もある。

 また、常磐線各駅停車(東京メトロ千代田線直通)に2編成あった209系1000番台は、オレンジバーミリオンの帯色に変更のうえ、中央線快速に転属した。中央線快速ではグリーン車2両の増結とトイレを設置するため、E233系の改造が進行中で、その間に不足する編成を補うために使用されている。

常磐線各駅停車を離脱した209系1000番代は、オレンジバーミリオンの帯に変更し、中央線快速で活躍をしている(撮影/高橋 徹)
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常磐線各駅停車を離脱した209系1000番代は、オレンジバーミリオンの帯に変更し、中央線快速で活躍をしている(撮影/高橋 徹)

 山手線へのE235系の投入を発端に、中央・総武線各駅停車の置き換え、捻出した車両による武蔵野線、川越線・八高線へと至る大転属劇。実は、最終的に置き換えられた武蔵野線および川越線・八高線の205系は、元はといえば山手線を走っていた205系である。大変興味深い動きである。

 今後、首都圏では横須賀線・総武線快速へのE235系の投入も予定されていて、こちらではE217系の大異動が予想される。もしくは、結構な距離を走っているので転配なく廃車になるのか、首都圏の電車の激動から目が離せない。(文/高橋 徹)