関釜航路を航行する「はまゆう」(C)朝日新聞社
関釜航路を航行する「はまゆう」(C)朝日新聞社

 ここからは、ルートを決める際の注意点について。青森行きの(1)の場合は、上越国境の水上~越後湯沢間の列車が極端に少なくなる。水上発の定期列車は8時28分、9時45分、13時40分、17時49分、20時50分の5本しかない。そのため、まず水上~越後湯沢間でどの列車に乗車するか、そこからプランを立てることをおすすめする。

 同じように小倉行きは、大垣~米原間と姫路~相生間がそれぞれ日中1時間に2本程度の運行本数となる。これはこの区間で、前後の区間に比べて人口が希薄になるためで、上越国境ほどではないにしろ、それまでの乗り継ぎ時間の短さから比べると長く感じるだろう。ここも注意点のひとつだ。

 乗車ばかりで休憩がないのも大変だろう。特に小倉行きではそれが顕著で、駅で食事をとることはまず望めない。わずかな時間で駅弁やパン、飲料などを調達することが望ましい。

 変わった「青春18きっぷ」の使い方では、下関と韓国・釜山を結ぶ関釜フェリーでは、2等運賃が片道半額の4,500円となる「“青春18きっぷ旅”大応援キャンペーン」を開催中だ。電話で「青春18きっぷ大応援割引」と告げて下関発釜山行きの片道、または往復を予約すれば適用される。詳しくは関釜フェリーを。

 なお、雑誌『旅と鉄道』増刊7月号「青春18きっぷの旅」(発行:天夢人、発売:山と溪谷社)では、始発のほか、6時台・7時台・8時台と出発時間別の限界時点を、東京発・名古屋発・大阪発でそれぞれ紹介している。8時台でも東京発なら北は盛岡、西は広島のちょっと先の新井口までたどり着ける。意外と遠くに行けることに、きっと驚くだろう。(文/平賀尉哲)

○平賀尉哲(ひらが・やすのり)/1964年、徳島県生まれ、三重県育ち。鉄道雑誌の編集部に勤務し、2008年にフリーランスの編集者、ライターとして独立。「週刊JR/私鉄 全駅・全車両基地」(朝日新聞出版)、大手私鉄を各社ごとに取り上げて前面展望映像のDVDと詳しい車両紹介、歴史などを記した「完全データDVDBOOK」シリーズ(メディアックス)の企画・編集・執筆に携わる。車両に乗って旅をしているだけで幸せになる「乗り鉄」派である。スキューバダイビングの経験も長く、インストラクターの一歩手前までのライセンスを所有する。