荒木経惟が語る「人間より人形にひかれる理由」

2019/06/08 07:00

「今月号の『アサヒカメラ』の表紙は目立たせたいなって思ったね。それでこれ。こんなの面白いだろ。これは強いよ。いまAI(人工知能)が気になっていて、これからそういう技術はどんどん進んでいくじゃない。だから気がつけば、人形のほうが人間より“魂”っつうかさ、なんだろうな、なんか中身が複雑だと思うの。で(人形の)表面じゃなくて、そっちのほうを撮りたがっているんだよ、おれは。人間より人形のほうが、なんかあるんだよ、ひかれるものが。『人間は感覚が生モノじゃなきゃダメだ』なんて言うけど、なんかひかれるんだな、人形というか人工知能に。そこにエレジー、そしてエクスタシーがあるわけだよ」

 今年の1月から2月にかけてJCIIフォトサロンで「愛のバルコニー」展が開催された。長年住んできた豪徳寺の自宅マンションのバルコニーを1982年から2011年まで撮り続けた写真で構成された写真展である。マンションの解体を機に梅ケ丘に転居を余儀なくされたが、そこでも同様の手法で撮影は続けられている。
「バルコニーで花やこの人形を撮っていて、ふと気づいたらなんか“霊”のようなものを感じているんだよ。それで“墓情”だよ。梅ケ丘でも豪徳寺のように人形を散らしていたんだけど、おれが留守のときに外のバルコニーをかたづけてくれちゃったんだよね。で、人形は片隅にほっぽられてて……でもそこを見たらなんか感じるのよ。屋上から下を見ると妙にひかれてね。上の写真は棺桶じゃないけど骨のような、墓地なんだよな。どこを撮っても墓地になる。思い込みだけど、例えば、地面だけの写真を撮って、そこに人形はいないのにまだ残っているような感覚だね。だから最近は人形だけ、花に紛れていないものも撮っている」

写真=荒木経惟
取材=高畠保春(アサヒカメラ)

「梅ヶ丘墓情」展
会期: 2019年5月25日~6月15日
会場: タカ・イシイギャラリー 東京

撮影データ:ペンタックス67II・90ミリF2.8・プロビア100F

※アサヒカメラ2019年6月号より抜粋

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