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写真は「プリント」が命 カメラマンとアートディレクターが語る

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石川悦郎dot.#アサヒカメラ
さまざまな紙に印刷することで作品のイメージはだいぶ変わる

さまざまな紙に印刷することで作品のイメージはだいぶ変わる

 撮影した作品の最終形態はどこに定めるのがよいだろうか。もし、ハードディスクやクラウドにデータを蓄積していくことで終えているのなら、その先の世界が大きく広がっていることに気づいてほしい。写真家、ディレクター、研究者の専門的な視点から、写真をプリントすることの大切さを語っていただいた。

プリントは作品づくりのゴールそのものだ
──── 写真家・高橋宗正氏

【アナログ・デジタルで異なる世界 プリントからさかのぼり機材を選択】

 撮影した作品をプリントすること、それは写真家にとっての最終形態、ゴールそのものです。最近は8×10のモノクロ作品を研究しているのですが、例えば紙ごとに微妙に質感が変わっているところがとても興味深いですね。僕がいる現代からさかのぼると、過去には膨大な数の写真家が存在します。8×10や印画紙を使うとなると、デジタルとは比べものにならない、過去のそうそうたる大先輩の作品が参照できるのです。その存在を踏まえて自分が何かを作るときには、諸先輩を追いかけるという気持ちもありますし、現代だからこそのやり方で作品をつくりたいという気持ちもあるのです。表現するという以前に、技術の向上も取り入れていきたいですね。印画紙もデジタルも基本的なプロセスは似通っています。

 最終的に自分がどういうイメージを追求した作品をつくりたいかによって、選ぶカメラやフォーマットが決まりますし、紙も変えていくというのがプリントに共通する考えです。

 例えばデジタルの場合、黒は黒そのものです。これが印画紙の場合は、黒のなかにもディテールが存在するのです。紙の裏から光を照らしてみると、人間が認識できないくらいに追い込んだとしても、その中にディテールがあるわけです。実際には作品を裏から照らして見ることはありませんが、見えない中にも確かに存在する──そこにあるのがプリントの「ロマン」なのだと思います。数値化してデジタルとアナログの違いを求めるよりも、見えないながらも感じている何らかの存在が、しっかり作品に表れてくるのだと思います。この1~2年はアナログの世界の奥深さとその魅力に浸っています。


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