Eマウント用標準大口径
Eマウント用標準大口径

 同スペックのレンズは同社のVMマウント(Mマウント互換)にも存在する。コシナによれば本レンズは基本となるレンズ構成は同じながらも、ソニーのEマウント用センサーの特性に合わせて最適化されているという。したがってVMマウントのものを同社のVM-Eマウントアダプターで使用する場合と描写特性や操作性、機能が異なることになる。

【このレンズで撮影された写真はこちら】

 鏡胴デザインもソニーαのシリーズに合わせておりVM用のそれと少し異なるが、MFレンズということで指がかりのいいローレット、トルク感もコシナらしく五感に訴える作りで、操作感も独自の個性がある。

 マウント基部には電子接点が設けられ、カメラボディー側との通信が行われる。フォーカスリングの操作によるファインダーの拡大表示も可能。またExifデータを見れば撮影情報がわかる。また、距離エンコーダーを内蔵しているため、カメラボディーに内蔵されている5軸手ブレ補正にも対応する。

 現代のレンズとしては珍しくシンプルな構成だが、6群8枚の構成中、4面に非球面レンズを採用し、2枚のレンズ両面を非球面にすることで性能を向上させている。

1段絞って開放ではわずかに残るフレアを軽減し像を締めた。背景のボケ味も自然。絞りによって表情を変えるので表現やモチーフによって設定を変えてみるのも面白い●ソニーα7R III・AE(絞りf1.4・800分の1秒・-0.3補正)・ISO1600・AWB・RAW
1段絞って開放ではわずかに残るフレアを軽減し像を締めた。背景のボケ味も自然。絞りによって表情を変えるので表現やモチーフによって設定を変えてみるのも面白い●ソニーα7R III・AE(絞りf1.4・800分の1秒・-0.3補正)・ISO1600・AWB・RAW

【描写性】
無機的にシャープネスを追求する設計ではなく、残存収差のバランスを重要視しているのだろう。絞りによって描写特性の変化を楽しめる、最近では稀有な存在のレンズかもしれない

【使用感・操作感】
フォーカスリングの回転と人間の生理が合致する感覚。これがファインダー拡大表示とうまく適合する。MFであることが気にならない

【デザイン】
クラシックさを感じさせつつもEマウントボディーとのバランスを大事にしていることに好感が持てる。動画対応のため無音クリック設定も可能

写真・文 赤城耕一

●焦点距離・F値:50ミリ・F1.2
●レンズ構成:6群8枚(非球面レンズ2枚、異常部分分散ガラス1枚)
●画角:47.5°
●最短撮影距離:0.45メートル
●フィルター径:φ58ミリ
●大きさ・重さ:φ70.1×58.8ミリ・434グラム
●価格:税別標準15万円
●URL:http://www.cosina.co.jp/
●TEL:0269-22-5106

アサヒカメラ2019年4月号より