同年12月27日には、日経平均株価が史上最高の3万8915円を記録。バブル景気が崩壊する前夜で、日常生活がお祭り騒ぎの時代だった。

 おそらく、40歳以上の男女にとって忘れられないベストセラーといえば、1991(平成3)年の宮沢りえのヘアヌード写真集「Santa Fe」(撮影・篠山紀信、朝日出版社)だろう。宮沢りえは当時18歳。発売1カ月前に全国でヌード写真が入った全面広告が掲載され、書店に並ぶ前から話題沸騰となった。もちろん、同年のベストセラー1位。人気絶頂のアイドルがヘアヌード写真集を出すという“異色中の異色”の本は、平成を語るうえで忘れられない出来事となった。

 ちなみに、同年2位は今年8月に53歳で亡くなったさくらももこの「もものかんづめ」(集英社)。1990(平成2)年に「ちびまる子ちゃん」のアニメ放送が始まると幅広い年齢層で人気となった。そのブームをアシストしたのが、この名作エッセイだ。エッセイにはアニメでおなじみのキャラも登場し、今でも読みつがれている。さくらももこのエッセイはどれもベストセラーで、1992(平成4)年の「さるのこしかけ」は2位、1993(平成5)の「たいのおかしら」(いずれも集英社)は3位。漫画家として成功しただけではなく、平成を代表する売れっ子作家になった。

 1993年は、日本政治で「55年体制」が崩壊し、非自民の細川護煕内閣が成立した年でもある。その立役者となった小沢一郎の「日本改造計画」(講談社)は、同年8位。本の序章で、日本と違って個人が尊重される米国では、グランド・キャニオンには転落を防止する柵がない。そこから自己責任の重要さと日本人の甘えの精神からの脱却を説いたことは、政界だけではなく、日本中で話題となった。

 一方、細川内閣の政権運営は混乱を極め、約10カ月で崩壊。1994(平成6)年は自民党の暴れん坊政治家・浜田幸一の「日本をダメにした九人の政治家」(講談社)が1位。この頃、「政治の季節」で政治家本が多数出版されたが、この2冊は群を抜いた売れ行きだった。

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平成で最も売れた本は?