(写真:getty Images)
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「背景には昭和の終わり(1986年)に男女雇用機会均等法が施行されて作り手に女性のパティシエールが増えたこと、スイーツ好きの男性ブロガーが登場して男性たちも堂々とお菓子屋さんに入れるようになったことがあります。一般的に女性は新しいもの、見た目が華やかなものが好きですが、男性は安心、安定、定番が好きな傾向がある。男性も含めたスイーツ市場では、家庭でも食べたことのある古典的なものが再評価され、進化して広く受け入れられるようになったのではないでしょうか」

 確かに、ハワイの人気店から火が付いたパンケーキも、要は家庭で作られるホットケーキの進化版。天然氷のかき氷も、生キャラメル、ロールケーキ、パフェ、プリンも古くから慣れ親しんだ安心感のあるメニューで、素材や工程、見た目が新しくなって人気を得ている。つまり“リバイバル”なのだ。

 前述のように、タピオカは今夏、第3次ブームに突入。きっかけは環境保護を目的に、台湾でプラスチック製のストローの使用を規制する動きが出たことから「タピオカはどうなる!?」と注目されたことだったと岩谷さんは指摘する。猛暑の中、ゴクゴクと飲みたくなった人が急増したのではないかと見る。そして、ブームを迎えたタピオカはさらに大粒にカラフルに進化中だ。

7月にオープンした「Asian Rad Afters(アジアンラッドアフターズ)大阪店」ではタピオカドリンクも3色に進化中(撮影/岩谷貴美)
7月にオープンした「Asian Rad Afters(アジアンラッドアフターズ)大阪店」ではタピオカドリンクも3色に進化中(撮影/岩谷貴美)

「プリンもリバイバル中ですが、かつてのなめらかプリンは生クリーム感が強く、洋への憧れが感じられます。いま流行っているのは卵感の強いしっかりした食感のプリンで、より原点に近いもの。近年はバニラビーンズやカカオ豆などの原材料費が高騰しているため、手頃な値段で出せるシュークリームやプリン、ロールケーキは店側の事情とも合致しています」

 男性のほうがスイーツにかける金額はシビアで、1000円弱で1本購入できるロールケーキは大きくて高級感があり、型崩れしにくいため手土産にしても喜ばれるというメリットがある。1本を切り分ければ、人数のわからない場所にも持って行きやすい。それがいまの食パンブームにつながっていると岩谷さんは分析する。

手土産にも人気。「銀座の食パン~香~」は1本(2斤サイズ)で税込1,000円(俺の株式会社提供)
手土産にも人気。「銀座の食パン~香~」は1本(2斤サイズ)で税込1,000円(俺の株式会社提供)
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