「野崎さんが1988年、脱税で立件された時、別の人が代表取締役に一時的に就任。数年して、また野崎さんが社長に復帰して以降はずっと社長は交代していない。2011年に辞任していたなんて、あり得ない」

 筆者が2017年6月、野崎さんにもらった名刺にも「代表取締役社長」と記されている。

筆者が2017年6月、野崎さんにもらった名刺
筆者が2017年6月、野崎さんにもらった名刺

 さらにFRIDAYデジタルが2018年11月8日に配信した「紀州のドン・ファン怪死事件 新妻Sさんに流れた『疑惑の1億円』」と題した記事が波紋を呼んでいる。

 記事によると、野崎さんが社長だったA社から9月、1億円近くがSさん側に振り込まれたが、FRIDAYが取材した時点(2018年10月18日)ではSさんは代表取締役と登記されていなかった。取材後に突如、A社の法人登記簿は書き変わり、Sさんが7月31日付で代表取締役になっていた、という内容だ。

 今後、野崎さんの20億円とも言われる遺産の行方はどうなるか?

「野崎幸助の兄弟は、遺産相続する意思はある。だから、相続にはどういう手続きが必要か、自分たちで調べている。しかし、妻のSさんからはまだ何の相談も連絡もない」(野崎さんの親族)

 そんな中、捜査関係者はこう意気込みを話す。

「野崎さんの死亡後、周辺で会社の登記、不動産、金融機関の預金など、合点がいかないことが浮上してきた。野崎さんが手元に置いていたはずの2億円の現金が消えていることも、把握している。野崎さんの死に直接、関係しないことでも積極的に捜査したい。来年は、統一地方選、参院選が予定される中、できるだけ、早く端緒をつかんで犯人に迫りたいと考えている」

「平成最後の未解決事件」とされる紀州のドン・ファンの「怪死」。近く大きな展開があるのだろうか?(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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