東ちづる独白 LGBT映画を作った理由「生産性という言葉に引っ張られてはダメ」

福井しほdot.#映画#東ちづる
東ちづるさんが「映画撮りまーす!」と宣言し、プロデュースした作品「私はワタシ ~over the rainbow~」は22日からいよいよ公開する(撮影/写真部・掛祥葉子)

東ちづるさんが「映画撮りまーす!」と宣言し、プロデュースした作品「私はワタシ ~over the rainbow~」は22日からいよいよ公開する(撮影/写真部・掛祥葉子)

 女優として活躍する傍らで、骨髄バンクや障がい者アートなどの支援活動を続けてきた東ちづるさん。テレビに出ながら、ずっと一人で取り組んできたが、東日本大震災をきっかけに一般社団法人「Get in touch!」を立ち上げた。そして今は、自身がプロデュースした映画「私はワタシ ~over the rainbow~」の配給に奔走する。同作にはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、そしてその枠に囚われないすべてのセクシュアルマイノリティー(LGBTs)の当事者50人が出演し、90分間のドキュメンタリー映像には50通りの「当たり前」が描かれている。

 東さんの口から出てくる言葉ははつらつとしていて、よどみない。26年前から社会問題に向き合い、考えてきたからこそ、力強く、そしてピュアだ。「お嫁さんにしたい女優ナンバー1」と呼ばれてきたが、その半面、声を上げれば「怖い」と言われ、「男性が言えば聞いてもらえたんだろうな」と悔しい思いもした。それでも、すべての人が自然に、気楽に、自由に暮らせる「まぜこぜ」の社会を目指す東さんを突き動かしてきたのは、社会へのモヤモヤと目の前の世界への好奇心だった。

【写真】力強く語る東ちづるさん。自身にも「LGBTsは特別なことだ」という思い込みがあったと明かした

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――個人でも長く活動されてきて、2011年から「Get in touch!」をスタートしました。

東日本大震災で被災地が日本の縮図だと感じました。「絆」「つながる」という言葉がたくさん出たけど、現実はやっぱり難しい面もあった。自閉症の男の子がパニックになると怒られたり、耳が聞こえない方はアナウンスが分からず食事がもらえなかったり。支援団体はたくさんあって、みんな同じ思いで活動しています。でも、縦割りになりがちです。内輪でぐるぐる回っている感じもあったので、そこに横串を刺したいなと思いました。NPOも企業も政治家も手をつなぐことができればという思いがあります。私はエンターテインメントの業界にいるので、無関心な人も「カッコいいね」「面白そうだね」と参加したくなるような、キュートでスタイリッシュな演出をしていこうと団体を立ち上げました。

本当はずっと一人で活動するつもりでした。幼い頃から「他人に迷惑をかけてはいけない」と育てられてきたので、団体というものが苦手なんです。集団で求められる役割に疲れることもあるし、仕事ならまだしも、やりたくてやっていることでしがらみを持ちたくなかった。「どこにも所属しないし、団体を作ることもない」と豪語していました。「やっとやる気になったか」と言ってくれた人もいたけど、一部の人には「あんなに言ってたのに」と驚かれたり。「だってしょうがないじゃん!」という気持ちですね。

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同性同士の結婚式で感じたモヤモヤ

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