(撮影/写真部・片山菜緒子)
(撮影/写真部・片山菜緒子)

「1日でいいから城田君と変わりたい」とか、よく言われるんですよ。「それでどうするんですか」って聞いたら、「できるだけ女の子に声かかる」とか(笑)。でも僕の生活って何も変わらないですよ。みなさん、ないものねだりでそう思っているだけで、そもそも僕は小さい頃からコンプレックスの塊だったし、そういう発想が無いのかもしれないけど。周りからチヤホヤされてきたことも無いし、むしろ否定され続けてきたと思っています。

――そこまでのコンプレックスの理由は何だったんでしょうか?

 身長と顔! いまはもう割となくなってますよ。むしろこの顔で生まれてよかったなとか、身長があってよかったなと思うようになったというか、思うようにしたんですが、20歳ぐらいまでは両方がコンプレックスでした。ハーフ特有のアイデンティティークラッシュと呼ばれるものですが、スペインに住んでいるときに仲間はずれにされて、僕はこの国の人じゃないんだと思って、日本に帰ってきてからもその思いは消えなくて、自分はどこに行けばいいんだという時期がありました。それからやっとテレビに出るという夢ができて、13歳で事務所に入っても、どこのオーディションでも顔見せでも、決まって身長と顔のことを言われるんです。「かっこよすぎるんだよなぁ、ちょっと……」って、ようはダメってこと。当時の僕はカッコいいって言葉が本当に嫌いだったんですよ。「カッコいいからいいじゃん」って言われるのも、僕にとっては少しもメリットじゃなかった。

 身長も14歳で180センチぐらいあったので、「顔が大人っぽいし、背が高いからさすがに学生役とか難しいよなー」ってプロデューサーと監督が目の前で話したりしているんです。その世界の偉い大人に言われる言葉は、思春期の子どもにはとても重いもので、「君は無理だね」って言われた言葉の通り、僕はダメなんだと思っていました。オーディションの帰り道はめっちゃ泣いたし、学校でも、ずっと腰と背中を丸めて授業を受けていましたね。これ以上、背が伸びないように。

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朝ドラや大河ドラマで日本人の役も