富豪たちは、このスパに何を求めているのか。Six Senses aplankayaのDr.Ranjanさんに聞いた。過去に来日し、日本で睡眠に関するセミナーなどを行っているドクターだ。

「人はね、nature Life(自然な生活)を求めているんだ。ここでは、ウエルネス業界のスペシャリストらが開発したプログラムを、一人一人のゲストのコンディションにあったもので提供する。『ウェルネス・スクリーニング』といって、体組成や代謝や血中酸素濃度や心機能や循環機能、ストレスパラメータまで調べて分析。その結果に基づいて、スパ(マッサージなど)やフィットネス(運動)、食事のメニューのアドバイスまで行うんだ」

野菜豊富な食事で体の内側からデトックスを
野菜豊富な食事で体の内側からデトックスを

 健康であってこそ、仕事もでき、趣味を極められる。健康が人生のベースを作る。どんなに忙しくても自分の体と心に向き合う時間を作ることは大切なのだ。最近日本でも、スパつきの人間ドックができているが、そのリゾート版、というべきか。自然の中に身を置くことは、体を自然のリズムに整えることができるだけでなく、「生かされている」ということをも実感できる。

 ちなみに、この宿のコンセプトの一つが、「サスティナビリティ(持続可能性)を学ぶ」ーー。食事はこの地域で採れたものを使う。オーガニックガーデンでは野菜を栽培中。訪問時期は、トマトにピーマン、イチゴ、ミント、カボチャなどが育っていた。ざくろやオリーブもある。オリーブの収穫時期には、宿泊ゲストたちも収穫を共にする。さに「ゼロ廃棄」という哲学を掲げ、たとえばプラスティックのストローは使わず、そのかわり、竹やレモングラスの茎などを利用する。

オーガニックガーデンは今後も拡大予定とか
オーガニックガーデンは今後も拡大予定とか

 ホテル内のウエルネスフロアにある「ザ アルケミー バー」では、ハーブを使ったボディスクラブを作る「Great Mixture of Herbs orkshop」も体験可能(有料)。30分程度のものだが、自分の好きな香りのハーブを使って、体に塗布するスクラブ剤を作ることができるのだ。むくみ防止によいジュニパーベリーや、グリーンティ、ローズマリー、カモミールなど、普段は包装されたものしか見たことがないハーブの多くを、実際に手にとり、石臼でゴリゴリとクラッシュ。それにオリーブオイルやミネラルソルトをまぜて、出来上がり。この体験は、自分たちが自然の一部であり、自然に生かされて、自然によって美しく体も心も浄化されるということを実感できる。

ハーブでボディ用スクラブづくりも体験できる
ハーブでボディ用スクラブづくりも体験できる

 アクセスは、イスタンブール空港から国内線に乗り継いで「Milas-Bodrum(ミラス・ボドルム)国際空港」。そこからは車で1時間強(ホテルの有料送迎あり)。

「イズミル国際空港」からのアクセスも可。テイラーメードの旅行商品はあるが、いわゆるパッケージ旅行で行くのはちょっと難しい。そんな場所だからこそ、人生リセットにぴったりなのだ。(撮影と文/大崎百紀)