2000年以降の募集対象者の推移について、商工リサーチの関氏は、一般的な退職年齢の60才か61才に対して「最初のころは45才以上とするものが多かったが、その後は40才、30才と低年齢化し、さらに全社員とする企業も出てきた」と語った。しかし、有望人材も応募してきて企業経営に影響が出てきたためか、「最近は会社が認めた者とする事例が増えてきている」という。また、当初は募集人数に満たず、年に2、3回の募集を繰り返す企業もあったと話している。

 企業を取り巻く経営環境は激変している。AI(人工知能)やインターネットなど技術・情報革新が世界規模で進んでいるほか、 少子高齢化で国内市場も急激に変化している。さらに労働市場では人手不足に働き方改革も加わり、雇用環境が様変わりしつつある。

 最近の退職者募集の動きについて、ベクトル副社長で組織・人事コンサルタントの秋山輝之氏は、かつてのように業績が悪くなって首を切るリストラというよりは退職金を手厚くして望む人に早めに退職してもらうものが「昨今、増えている」と指摘。バブル期に入社した人が50代となるなど、企業は社員の年齢構成や必要な事業・部門への人材の適正配置の問題などを抱え、「採用には苦慮している」とし、「人員構成は常に見直したい」と考えているという。このため、希望・早期退職者募集は「今後さらに加速していくのではないか」と話している。(浅井秀樹)

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【表】おもな上場企業のリストラ募集人数ランキング