今回のCMでは監督さんたちとの打ち合わせで、いまの奈美恵ちゃんの1992年風をつくるのではなく、「そこまでやるの!?」っていうぐらい徹底的に再現しようということになり、細部までこだわっています。過去のものも、私がやらせてもらったメイクが多くあるので必要な情報は頭の中にあるんです。そこから緻密に再現しました。


東京・渋谷のスクランブル交差点を舞台に、安室奈美恵さんと携帯電話の進化を振り返るテレビCM「安室奈美恵×docomo 25年の軌跡」。最初のシーンは1992年。安室さんがデビューし、NTTドコモが誕生した年だ。手にするのは、それまでのショルダーホンに比べて超小型化した携帯電話。安室さんはこの後、95年に小室哲哉プロデュース第1弾「Body Feels EXIT」をリリース、96年に「Don't wanna cry」で日本レコード大賞を史上最年少受賞、97年「CAN YOU CELEBRATE?」がダブルミリオンを記録した(写真:NTTドコモ提供)
東京・渋谷のスクランブル交差点を舞台に、安室奈美恵さんと携帯電話の進化を振り返るテレビCM「安室奈美恵×docomo 25年の軌跡」。最初のシーンは1992年。安室さんがデビューし、NTTドコモが誕生した年だ。手にするのは、それまでのショルダーホンに比べて超小型化した携帯電話。安室さんはこの後、95年に小室哲哉プロデュース第1弾「Body Feels EXIT」をリリース、96年に「Don't wanna cry」で日本レコード大賞を史上最年少受賞、97年「CAN YOU CELEBRATE?」がダブルミリオンを記録した(写真:NTTドコモ提供)

――1992年のヘアメイクは、96年に新語・流行語大賞のトップテンに入った「アムラー」現象の原型のように見えます。特徴を教えてください。

 髪はセンターパート(真ん中分け)で、カラーは白っぽいメッシュが入っています。髪の長さはいまよりも全然短いので、緻密に長さを決めてウィッグをつくりました。毛先にはレイヤーが入っています。

 アイシャドーはシルバーブルーです。このときはまだまつ毛を上げて目元を強調する時代ではなかったので、ビューラーは使わず、リップはダーク。当時はもっとダークだったのですが、今回はフレッシュさを出すために少し明るめにしました。

――懐かしいですね! 当時、このメイクはどのように生まれたのでしょうか。

 モード界でもこういうメイクの流れはありましたが、細眉は奈美恵ちゃんが自分でキレイに整えていて、ご本人の好みから生まれたものです。

 当時は黒人女性がかっこいい時代でした。スーパーモデルブームがあり、日本でもナオミ・キャンベルが大ブレイクし、音楽界ではジャネット・ジャクソンが人気でした。少し前ですが、スポーツ界にはジョイナー(米陸上選手、88年ソウル五輪で3冠)もいましたよね。

 彼女はジャネットに影響を受けて歌とダンスを始めたぐらいジャネットが大好きだったし、彼女自身もこういうメイクが似合ったんです。私は「THE夜もヒッパレ」(日本テレビ系)や「ポップジャム」(NHK総合)などテレビ番組のお仕事はご一緒していなかったのですが、自分でダークめのリップを塗って、眉を描いて出ていたと聞きました。奈美恵ちゃんがそういう感じのメイクが好きだからと、私たちヘアメイクはそこに寄り添って、メイクをすることが多かったですね。毎回こうだったわけではありませんが。この時代に奈美恵ちゃんがいたからこそ日本中に広がったメイクだったと思います。

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20年以上ぶりのアムラーメイク再現に本人は?