ナッツの意義に気がついたところで、Kevinからマリファナ以外のドラッグのセールストークが始まったところで頃合いかと思って、その場を退出させてもらったのだった。

ニューヨークの大麻売人が好きなナッツ。実は日本で取材したときもそうだった。そこはどんな理由が?(撮影/丸山ゴンザレス)
ニューヨークの大麻売人が好きなナッツ。実は日本で取材したときもそうだった。そこはどんな理由が?(撮影/丸山ゴンザレス)

 彼と話して、ほかにもあれこれ取材を重ねていくつか気がついたことがある。ニューヨークのような大都市の場合、裏社会的な場所というのが存在しないのだ。むしろ、裏社会と接点のある人がいて、その人と接点を持つことが裏社会に触れることになる。例えばそれは、ドラッグと出合えるような場所があるのではなく、誰がドラッグを扱っているのか知っていれば買うこともできるということなのだ。似て非なる違いを理解すると、大都市の裏社会の存在も今と違って見えてくるだろう。

(文/ジャーナリスト・丸山ゴンザレス、イラスト/majocco)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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