帝京大でも法学部が強く、16年春卒で、警視庁23人、神奈川県警13人、埼玉県警5人、千葉県警4人などとなっている。

 警察関係者が大学を訪問して説明会を行うこともある。

 近畿大では 16年10月、大阪府警が「警察業界」説明会を行った。府警管理官が講演し、同校卒業生を含む警察官が警察組織や仕事内容をスライドやDVDを用いて紹介した。会場は120人の学生で埋め尽くされていた。

「警察官合格率日本一」を掲げ、得意分野としてアピールする日本文化大は、16年57人(13位)。15年の90人(5位)から後退した。14年は61人(7位)で、ここ数年、採用者数の揺れ幅は大きい。しかし、大学の規模が上位校とあまりにも違う。日本文化大は、法学部のみの単科大学で、1学年の定員(2016年度)はわずか200人。日大が1万4460人、帝京大が5371人なので、日本文化大の卒業生が警察官になる比率は極めて高い。そもそも入試での力の入れ方が半端ではない。「警察官志望AO入試」を取り入れ、警察官にあこがれる高校生のマインドを刺激している。

 女子大では、武庫川女子大が11人(94位)、東京女子体育大、日本女子体育大が9人(115位)で上位に並ぶ。

 大阪府警のウェブサイトには、武庫川女子大文学部英語文化学科出身の警察官が登場する。そのコメントはたくましい。

「警察官になって一番嬉しかったエピソードは、初めて犯人を検挙したことです。 夜間、自転車の二人乗りを発見し、職務質問をしたところ、横領の犯人ということが分かり、検挙しました。この経験から、地道な取り組みが犯人の検挙につながるということを学びました」

 全国の警察のトップである警察庁長官は、東京大卒が圧倒的だ。現在の坂口正芳長官をはじめ、2002年以降に就任した長官8人は、すべて東京大出身の警察庁キャリア官僚である。

※データは大学通信調べ(2016年実績)

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

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