市川猿之助さん=2021年10月5日
市川猿之助さん=2021年10月5日

 歌舞伎俳優の市川猿之助さん(47)が、自宅で意識がもうろうとした状態で見つかり、その後、同じ自宅で倒れていた両親の死亡が確認されたことについては様々な見方が出ている。猿之助さんの手書きの遺書のようなものが見つかっているが、猿之助さんの知人は「心中は信じられない」と語る。そして猿之助さんは罪に問われることがあるのだろうか。


 警視庁の調べで、母親(75)と父親で歌舞伎俳優の段四郎さん(76)は向精神薬の中毒死であることがわかった。また、猿之助さんの手書きの遺書のようなメモが残され、自殺を図っていたとみられることから、両親の死についても何らかの関与、事情を知っているとみられている。

 猿之助さんは、マネジャーに発見された直後に病院で手当てを受け、命に別条はなく退院した。現在は、自殺防止の観点から警察関連の施設で事情聴取を受けているとみられる。

 警察の調べのなかで猿之助さんは、

「家族会議を前の夜(17日)に開いた」

「死んで生まれ変わる」

「両親が薬を飲んだ」

 などと断片的に語っているという。

 こうした点からも心中との見方が出ており、猿之助さんの知人は、

「考えられる動機は二つ。ご両親の体調が芳しくなく、特に段四郎さんが厳しい状況だったことによる介護疲れ。もう一つは、猿之助さんが若い舞台俳優らに、セクハラやパワハラをした疑惑があるとの記事が出たこと」

 と話す。しかし、

「ただ、歌舞伎界にはいわれなきスキャンダルもあるし、ご両親の体調も数年前からの話ですから。いきなり一家で心中というのは信じがたい」

 との見方だ。

 警視庁は数日かけて猿之助さんの自宅を詳しく調べていた。

「2人が亡くなっているということで、当然殺人容疑も想定される。第三者の関与がないのか、どのような薬が使われたのか、その包装などが残されているのか。両親の死に至る経緯については、スマートフォン、パソコンなども重要な証拠になる。また、両親や猿之助さんは嘔吐(おうと)していたようで、その成分が何かも重要。捜査範囲は広く、長くなる」(捜査関係者)

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
次のページ
誰かが何らかの手伝い?