大きな決断を素早く決めて成功するのがシン富裕層だという。写真はイメージ(Getty Images)
大きな決断を素早く決めて成功するのがシン富裕層だという。写真はイメージ(Getty Images)

 もはや経済大国といえない今の日本でも、一代で数十億円の財産を築く富裕層は増えているという。地主や資産家の2世のように富を相続したわけではない「シン富裕層」たち。彼らはいったいどんな人たちなのか。2万人以上の「シン富裕層」と関わってきたコンサルタントの大森健史さんによると、彼らには「共通する資質」があるという。(朝日新書『日本のシン富裕層-なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』から一部抜粋・再編集)

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■シン富裕層と凡人の違い

 さて、お金持ちになれたシン富裕層と、なれない凡人との違いは、どういったところにあるのでしょうか。

 まず大前提として、はじめに伝えたいのは、庶民からお金持ちになった多くの「シン富裕層」たちは、そのほとんどが“ソロ活動”だということです。

 一般的に、「富裕層って本当にずるいよね。いい儲け話が来るから、資産を築けたんでしょう?」などと、嫉妬の気持ちも絡んで誤解されがちですが、富裕「層」というグループは、実際はどこにもありません。

 前の時代の富裕層、たとえば「地元の名士」と呼ばれる地主や政治家一家、創業家一族だったり、芸能人だったりは、ある程度の連帯があり情報も交換できていたのでしょう。しかし、シン富裕層の人たちは、一人ひとりが個人で頑張り、資産を築いてきたというタイプが圧倒的に多いのです。

 それぞれが自分で調べたり、考えたり、一生懸命人脈をつくったりと、自分で選択して行動し、失敗したり成功したりしているのが、シン富裕層なのです。そうした努力の結果、資産をつくってきたのだということは、みなさん知っておくべきでしょう。

 ただ、実際に成功し始めると、その資産を目当てに集まってくる悪い人たちがいて、そうなると玉石混交、さまざまな情報が入ってくるようになります。

 詐欺に遭ったという話も、シン富裕層からは非常によく聞きます。知り合いに「こういうビジネスがあるんだけど、出資してくれないか」と頼まれて、出資をした途端に雲隠れされ、本当にそういうビジネスをやっていたかどうかもわからないとか、新しい暗号資産をいち早く買わないかと誘われて、買ったらすべてが無価値になった、などです。昔でいうところの未公開株や原野商法の詐欺に当たります。

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詐欺師は多いし、言葉は巧み