スピードワゴン
スピードワゴン

結成16年以上の芸人による漫才コンテスト『THE SECOND~漫才トーナメント~』の予選「ノックアウトステージ16→8」が4月29・30日に行われ、ファイナリストが決定した。5月20日にフジテレビ系列で生放送される決勝戦の舞台に進んだのは、スピードワゴン、三四郎、超新塾、ギャロップ、テンダラー、マシンガンズ、囲碁将棋、金属バットの8組。

【写真】漫才コンテスト優勝後大ブレークしたおじさんコンビはこちら!

決勝戦「グランプリファイナル」では、この8組がトーナメント方式で一対一でぶつかり合い、優勝者が決まる。

この中で最もコンビ歴が長いのはテンダラーであり、それに続くのがスピードワゴン、マシンガンズである。スピードワゴンは2002年、2003年の『M-1グランプリ』ファイナリストでもあり、初期の『M-1』を盛り上げた立役者でもある。

熱心なお笑いファンではない人にはあまりピンと来ないかもしれないが、テレビタレントとして知名度も実績も十分にあるスピードワゴンが、今大会で決勝に駒を進めたのは歴史的な快挙である。

なぜなら、『THE SECOND』の予選は『M-1』に勝るとも劣らないほどの大激戦だったからだ。そもそも『M-1』は結成15年以内(大会初期は結成10年以内)の芸人による「新人賞レース」である。それでも、もちろんレベルは高いのだが、『THE SECOND』はそこからさらに芸歴を重ねた芸人だけが出場できる本格志向の賞レースであり、その戦いは熾烈を極める。

15年以上も漫才を続けているプロ中のプロだけが出場しているので、面白いのは当然、技術があるのも当然。その上で、心技体すべてを含めた漫才師としての「器」が問われるような大会である。その中で決勝まで勝ち上がったスピードワゴンは、間違いなく同世代でもトップレベルの実力者なのだ。

しかし、一般的には、井戸田潤と小沢一敬の2人から成るスピードワゴンが実力派漫才師であるというイメージは薄いかもしれない。なぜなら、彼らがテレビで漫才を披露する機会がほとんどない一方で、タレントとしては十分な知名度があり、それぞれのキャラクターも確立しているからだ。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
「ハンバーグ師匠」と「セカオザ」