今季が巨人移籍後7年目の石川慎吾(写真提供・読売ジャイアンツ)
今季が巨人移籍後7年目の石川慎吾(写真提供・読売ジャイアンツ)

 プロ野球も開幕から約30試合を消化し、上位と下位の差も徐々に開きつつある。ただ、まだシーズンは残り100試合以上あるだけにここから大きく順位が変わる可能性もある。そこで気になるのが二軍からの戦力の底上げだが、近年二軍では成績を残していながらも、なかなか殻を破れないでいる“二軍の帝王”と言える存在はどんな選手がいるのだろうか。

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 まさかの低迷が続いている巨人で真っ先に名前が挙がるのがやはり石川慎吾だろう。2016年オフに日本ハムからトレードで移籍すると、翌2017年にはキャリアハイとなる57安打、5本塁打を記録するなど存在感を示した。しかしその後は丸佳浩の加入などもあって出場機会が減少。過去2年間も一軍では一桁の安打数に終わっている。一方で2018年以降の二軍での成績を改めて並べてみると以下のようになっている(2023年は5月9日終了時点)。

■2018年:95試合 91安打 12本塁打 52打点 2盗塁 打率.336
■2019年:42試合 40安打 3本塁打  15打点 1盗塁 打率.310
■2020年:24試合 29安打 3本塁打  11打点 0盗塁 打率.363
■2021年:56試合 70安打 11本塁打 39打点 4盗塁 打率.365
■2022年:78試合 68安打 6本塁打  35打点 1盗塁 打率.283
■2023年:22試合 16安打 0本塁打  10打点 0盗塁 打率.327

 一軍に帯同している期間もあるため年によって出場試合数には波があるものの、6シーズンで5度の打率3割以上をマークするなど、常に安定した成績を残し続けていることがよく分かるだろう。今年も現役ドラフトで加入したオコエ瑠偉(現在は二軍調整中)、広島から5年ぶりの復帰となった長野久義の存在もあって二軍暮らしが続き、その二軍でもルーキーの浅野翔吾、萩尾匡也の起用によって出場機会は減少している。それでも限られた打席の中でしっかり結果を残す集中力はさすがという他ない。今年で30歳とベテランと言われる年齢に差し掛かっているが、チームも低迷しているだけにぜひ一軍でもチャンスを与えてもらいたい選手である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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パ・リーグで“二軍の帝王”となっている大砲は?