巨人時代の山口俊
巨人時代の山口俊

 横浜、巨人、そしてMLBでもプレーした山口俊が先月、現役引退を発表した。先発、リリーフの両方で実績を残した右腕は現役続行を希望していたものの、獲得球団が現れず自らユニホームを脱ぐ決意を固めた。

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「手を挙げる球団はあると思われていたので意外だった。全盛期ほどの球威はないが、投球術は上がっていたしスタミナもある。先発なら5、6番手、ブルペンでも重宝できる投手に思えた。現在の各球団の事情に合わなかったのだろう」(在京球団編成担当)

 山口は2005年の高校生ドラフト1巡目で横浜に入団。先発と抑えの両方で活躍し、当時低迷していたチームを投手陣の中心として支えた。2016年オフにフリーエージェント(FA)で巨人入りし、移籍3年目の2019年には15勝(4敗)、188奪三振、勝率.789で投手3冠に輝いた実績を持つ。

 2019年オフに巨人の選手としては、初となるポスティングシステムを利用してMLBのブルージェイズへ移籍。しかし、米国では結果を残すことができず2021年6月に巨人に復帰した。昨季は故障の影響で一軍では1試合の登板に終わり、10月25日に戦力外通告を受けた。その後、山口は現役を続行する意思を示していたが、結果的に所属先は見つからず。4月17日に現役を退くことを自身のインスタグラムで報告した。

「メジャー移籍前からフォーク主体の投球に変わった。真っ直ぐは意識的に動かして完全な見せ球にする。短い回なら打者に狙いを絞らせない投球ができると思われた。米国では先発にこだわり過ぎたことも通用しなかった要因の1つ。帰国後は反省を生かして柔軟な考え方をするようになったようにも見えた」(MLBアジア地区担当スカウト)

「帰国直後に投げていたボールは悪くなかった。以前は力で抑え込むタイプだったが、目先を変えることもできるようになった。制球力も上がっているように感じたが、昨年のパフォーマンスと故障がマイナスとなったかもしれない」(巨人担当記者)

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能力以外にも獲得球団が現れなかった理由