※写真はイメージです(gettyimages)
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 PTAというのは不思議な組織だ。任意加入の団体で、活動はボランティアのはずなのに、多くの保護者は不平不満を抱きながら嫌々活動している。ところが、それを見直そうとすると古参の役員は徹底的に抵抗する。「今までこのやり方でやってきたんです」と。筆者が小学校でPTA会長を務めていたとき、この言葉を何回聞いたことか。不必要な活動をなくすため、会則を全面改正するのに4年もかかった。その際、心の支えとなったのが現在、千葉県船橋市PTA連合会で顧問を務める宮下博さんだ。宮下さんは同市の習志野台中学校でPTA会長だった4年前、組織を解体し、激しい抵抗を受けながらまったく新しいPTAを立ち上げた。

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 宮下さんが主導してつくり上げたPTAは実に画期的だ。

 PTAをやりたいと、手を挙げた人だけが活動する。なので、嫌々PTAの仕事をする、ということはあり得ない。

 PTA活動の中心を担うのは「コアメンバー」。通常のPTA本部とは違い、会長、副会長、書記、会計などの役職がない。なので、役員のなり手がいなくて困る、という事態も生じない(ただし、校外の会議に出席するときは便宜上、役職名がつく)。

 日常的な活動は、コアメンバーによる生徒や学校への支援のみで、とてもシンプルだ。計画にない活動でも、必要と思われれば積極的に実行する。その際は、それを手伝ってくれる人を、「サポーター制度」に登録した保護者に呼びかけて募集する。

 簡素な組織なうえ、定められた活動がほとんどないので、「会則は3ページくらい。とてもコンパクトになりました」と、宮下さんは言う。

「コアメンバーや活動の参加者は全員、PTAに対してすごく熱意を持った人たちなので、会議を開くと、活発に意見が出ます。みなさん、PTAの仕事をやりたくてやっているので、従来よりも少ない人数で活動がまわるようになりました。サポーターもやる気満々なので、仕事が足りないくらいです」

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「不要論」から始まった改革