カーター・スチュワートJr.(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)
カーター・スチュワートJr.(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)

 ソフトバンクに鳴り物入りで入団したカーター・スチュワートJr.だが、来日5年目となった今季も故障のためオープン戦での登板すらないままシーズンが開幕。いまだに本領発揮という雰囲気はないが、“残された2年”で活躍できるのだろうか……。

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 4月1日、九州アジアリーグでソフトバンク三軍と宮崎サンシャインズの試合(タマスタ筑後)が注目を浴びた。左脇腹を痛めてリハビリ組で調整をしていたスチュワートが先発登板。3回61球を投げて2安打無失点、7奪三振の好投でスタンドの観客を沸かせた。

「終始8割くらいの力で投げていた。宮崎は今季からリーグに参加した発展途上のチームなので、無失点で抑えるのは当然の相手だった。実戦登板できたのは収穫だが、結果は当てにならない。今後を慎重に見ていく必要があるだろう」(ソフトバンク担当記者)

 スチュワートは、2018年のMLBドラフトでブレーブスから1巡目指名(全体8位)を受けるなど、米国でも将来を嘱望された右腕だった。だが、ドラフト後の身体検査で右手首に問題が見つかり契約まで至らず。翌2019年5月にソフトバンクと6年総額700万ドル(約9億4000万円)で日本球界入り。出来高などを含めれば最高1200万ドル(約16億1000万円)前後まで達する超破格契約となった。身体検査で問題が発覚したとはいえ、米球界でも注目された逸材がメジャーを経ずに来日することは日米両国で話題となった。

「素晴らしい素材なのはすぐに理解できた。160キロ超の真っ直ぐとナックルカーブのような変化球だけで、ある程度抑えられそうだった。日本野球への対応ができれば飛び抜けた結果を残すと思ったが、ここまで時間がかかるのは予想していなかった」(ソフトバンクOB)

 来日してからは日本野球への対応と肉体強化から始め、三軍から少しずつ登板機会を増やしていった。来日3年目の2021年には一軍デビューを果たし、最終的に11試合(うち先発が4試合)に登板。昨季は一軍での登板機会はなかったが、オフには5年目のシーズンに向けてプエルトリコでのウインターリーグにも参加した。

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頑張りは認められているものの…