巨大戦力のなかで中々チャンスが回ってこないリチャード(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)
巨大戦力のなかで中々チャンスが回ってこないリチャード(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)

 いよいよ開幕した2023年のプロ野球。新戦力が早くも躍動している球団もあるが、その一方で同じポジションにレギュラークラスの選手が複数存在する、いわゆる“だぶつき”が見られているケースがあるのも確かである。

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 まず真っ先に挙げられるのがロッテの外野陣だ。昨年の終盤はベテランの荻野貴司、若手の高部瑛斗と山口航輝という布陣となることが多かったが、今年は高部が怪我で出遅れてこともあって2018年ドラフト1位の藤原恭大がスタメンを任されている。これで高部が復帰した時にこのまま藤原を使うのか、高部を使うのかというのは大きな焦点となる。荻野が年齢的に厳しくなった時には山口、藤原、高部の3人がレギュラーというのが近い将来の青写真となるが、少なくとも今シーズンに関しては藤原と高部をどうするかという問題が出てくる。

 さらに現在は二軍調整中となっているものの、一昨年盗塁王のタイトルを獲得している和田康士朗、昨年イースタンで結果を残した山本大斗、西川僚祐など期待の若手も控えている。実績のある岡大海、福田秀平や中堅の菅野剛士などもなかなか出場機会を得ることが難しい状況だ。一昨年もシーズン途中に加藤翔平がトレードで中日に移籍しているが、今後のことを考えてまたトレードに動くことも十分に考えられるだろう。

 オフに大型補強を敢行したソフトバンクもレギュラー候補が重なっているポジションが目立つ。まず気になるのがリチャードの起用法だ。打線を見ると左打者が圧倒的に多いだけに、右の大砲候補であるリチャードを何とか抜擢したいところだが、今年は怪我から復帰した栗原陵矢がサードにコンバートされたことで出場機会を得ることが難しい状況となっている。ファーストはベテランの中村晃が務めているだけにチャンスはありそうだが、指名打者は開幕2戦目と3戦目は柳田悠岐が起用されており、加えて新外国人の加入もあってレギュラー獲得は簡単ではない状況となっている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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巨大戦力のソフトバンクは他にも“だぶつき”