※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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病院選びをするなかで気になるのが治療成績。しかし数字だけでは判断しにくい面もある。治療成績を読み解くためのポイントとは? 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2023』では、がんと心臓病の治療成績の読み解き方を取材した。

【図解】治療成績の読み解き方はこちら

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 日本人の死因1位、2位を占めるがんと心臓病。がんや心臓病と診断されればショックを受け、これからどのような治療を受けるのか、治療を受ければ治るのか、あとどれくらい生きられるのか、不安とともに次々と疑問が浮かぶ。こうした疑問に対する答えの一つとなるのが「治療成績」だ。治療成績は治療した結果、病状がどうなったのかを示すもので、本誌のランキングページで掲載している手術数などの「治療実績」とは異なる。

 治療成績を知ることには、主に二つの目的がある。一つは、自分の病気や治療の見通しについて知ること、もう一つは病院選びの指標とすることだ。大阪医科薬科大学で医療統計の研究を専門とする伊藤ゆりさんは「治療成績は読み解くのが難しい情報」と話す。

「治療成績には、さまざまな要素が影響しているので、その数字が自分には当てはまらないことがあります。また、数字上の成績だけで病院の優劣は判断しにくいのです」

 治療成績を示すデータは病気によって異なり、がんの場合は5年生存率が一つの目安になる。5年生存率とは、がんと診断された人のうち、5年後に生存している人の割合を示したものだ。多くのがんは、治療後5年経つと再発のリスクが低くなるため、5年後の生存状況が治ったかどうかの目安とされている。5年生存率が100%に近いほど、治療によって命を救える可能性が高いということになる。がんの種類によっては、10年生存率を用いることもある。

■データは平均的なもの 自分に当てはまらない場合も

 5年生存率は、がんの種類や進行度を示す病期(ステージ)によって、大きく異なる。例えば乳がん全体の5年生存率は92・1%、胃がん全体の5年生存率は72・1%。しかし病期別にみると乳がんI期は99・7%、胃がんI期は96・0%だ(いずれも「がん診療連携拠点病院等における5年相対生存率」2012-2013年診断例)。

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