現在はヤクルトの編成部アドバイザーとして働くアーロン・ガイエル氏(写真提供・菊田康彦)
現在はヤクルトの編成部アドバイザーとして働くアーロン・ガイエル氏(写真提供・菊田康彦)

「今回はずっと日本を応援していたんだ。 だから日本が優勝してハッピーだよ。みんな素晴らしい選手であり 、野球というスポーツに、 そして相手チームに対して敬意を表していたのも本当に立派だった 。日本のWBC優勝は3回目だし、 他の国はもっと頑張って追いついていかないとね」

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 日本の3大会ぶり、3度目の優勝で幕を閉じた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)についてそう語るのは、かつてヤクルトの“助っ人”として活躍したアーロン・ガイエル(50歳)である。

 ガイエル自身、ロイヤルズに在籍していた2006年に開催された第1回WBCにカナダ代表として出場。1次ラウンドのアメリカ戦では、その前年に22勝してナ・リーグ最多勝に輝いた左腕のドントレル・ウィリス(当時マーリンズ)から、三塁打を記録した。

 ヤクルトに入団したのは、翌2007年。いきなりセ・リーグ2位タイの35本塁打を放つと、2009年にはチーム最多の27本塁打、同2位の80打点をマークして球団初のクライマックスシリーズ進出にも貢献している。ヤクルト退団後は、古巣ロイヤルズ傘下のマイナー球団と選手兼任コーチとして契約したのちに現役を引退し、2019年から編成部アドバイザーとしてヤクルトに復帰。そのガイエルに、今年2月の沖縄・浦添キャンプで話を聞いた。

「僕は(選手として)スワローズでプレーし、今はスワローズのために働いている。(現役時代と)変わらぬプライドを持って、良い選手と契約できるように努めているんだ。チームにピッタリの選手を見つけられることもあれば、そうでないこともあるけど、常にベストを尽くそうと思っているよ」

「良い選手と契約できるように」との言葉が物語るとおり、現在のガイエルの主な仕事は新外国人選手の獲得調査。2020年には、ヤクルトの守護神だったトニー・バーネットも現役を引退して編成部アドバイザーとなり、以降は2人で連携してスカウティング活動を行っている。

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野球の能力と同じく“大事”にしている要素は?