公立中高一貫校の倍率は、開校当初に比べて落ち着いてきましたが、それでもまだまだ高倍率です。東京では私立と併願する受検生が増え、公立と私立の垣根が低くなっています。

MENU ■都内では公立中高一貫校の高校募集がなくなった ■注目は東京の男女枠撤廃

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 首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)全体の公立中高一貫校の志願者は年々減少し、倍率も下がっている。今年は首都圏すべての都県で減少した。栄光ゼミナール公立中高一貫校受検責任者の宮田篤史さんは、次のように話す。

「ここ数年、受検者は毎年1~3%減少しています。ただし易しくなったわけではありません。以前のようにお試しで受ける受検生が減ったためです。塾などでしっかりと対策をして、臨むようになってきました」

■都内では公立中高一貫校の高校募集がなくなった

 東京では、白鴎(台東区)が今年から高校募集を停止した。これで都内すべての公立中高一貫校の高校募集がなくなり、内部進学のみになった。白鴎の募集定員は前年に比べて34人増え、志願者も増えたが倍率は5.0倍から4.2倍に下がった。

 最難関の小石川(文京区)は志願者が712人から745人に増加した。

「全体に私立との併願は増えていますが、特に小石川は御三家クラスの難関校との併願が多い。毎年50人程度の欠席者がいますが、私立中に合格したために受検しなかったと思われます」(宮田さん)

 小石川ほどではないものの、桜修館(目黒区)や白鴎、両国(墨田区)、千代田区立九段でも入試当日の欠席や入学手続きの辞退者が目立つ。一方で武蔵(武蔵野市)、立川国際(立川市)、南多摩(八王子市)などはそれほど多くない。

「地域性もあります。東エリアは難関私立が集まっているので私立を第1志望にして公立を併願校に、逆に西エリアでは公立を第1志望にする受検生が多いためと思われます」(宮田さん)

 例年比較的志願者が多いのが桜修館だ。特に女子に人気で6~7倍と高い倍率で推移している。23区外では三鷹(三鷹市)が、志願者が多い。

「武蔵が高難度であることが広く浸透しており、近隣の三鷹に志願者が集まっています」(宮田さん) 

 立川国際は662人から494人と志願者を大きく減らした。小学校が併設されて移行期にあたることから、敬遠された模様だ。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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