学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、20代のフルート演奏者の学生から寄せられたお悩み「人前で緊張したときの対処法」について、持論を展開してくれた。

【写真】名門ジュリアード時代の廣津留すみれさん

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Q. 幼い頃からフルートを習っています。演奏会などの人前で緊張した時、廣津留さんはどうやって緊張をほぐしていますか? おすすめの対処法があれば教えてください。

A. 私も演奏前の待ち時間が長いと緊張してきますね。「本番が来る」と考えるだけでも頭の中がいっぱいになってしまうので、そういうときはあまり本番を意識しすぎないように物理的によく動いています。手をめちゃくちゃに振ったり、とにかく動き回ったり(笑)。

 あとは誰かと話すのもいいと思うな。共演者と話して笑い合えたらちょっと気もラクになるし、緊張感で息が詰まるような感じから解放されると思います。特にアウェイな場だとすごく緊張してしまうから、本番前の舞台袖でステージマネージャーさんらスタッフの方々と出身地の話などちょっとした雑談をするのもいいですよ。一緒に公演や番組などを作る人たちを信頼できるなと思うと、だいぶ心持ちが変わります。

 あとは、準備をしっかりして不安を解消することも大事です。私は中学生のころ、コンクール前によくシミュレーションをしていました。例えば、コンクールが1週間後の朝10時に本番を迎えるとしたら、朝起きて顔も洗わないうちに、要はウォームアップもできていない状態で本番まで毎日同じ時間帯に本番の曲を弾いてみる。寝ぼけているような状態でも弾けるようになれば、たとえ実際には完璧に弾けていなくても、「大丈夫だ」と自信がついて、気持ちに余裕ができるんですよね。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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廣津留さんも緊張で失敗する?