俵万智さん
俵万智さん

「非公式応援歌人と呼ばれてる 妄想短歌とまらぬ我は」

【写真】あの林真理子さんが満面の笑み!俵さんの人柄がにじみ出るツーショット

 軽やかな口語調で日常を詠い、短歌を身近な存在にしてきた歌人の俵万智さんが投稿する朝ドラのツイッターが話題だ。

 現在放映中の朝ドラ「舞いあがれ!」は、主人公であるヒロイン・舞(福原遥)の夫が歌人・貴司(赤楚衛二)で、ドラマの中のシーンには、たびたび短歌が登場する。それに呼応するかのように俵さんがツイッター上で繰り広げる“妄想短歌”がツイッターでトレンド入りするなど、新たな動きを見せている。ドラマを詠み、詠む楽しみを広げる、その心は。俵さんに聞いた。

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——朝ドラをどんな風に観ていますか?

 もともとドラマ好きで、いろんなドラマを見ていますが、「舞いあがれ!」は短歌が物語の中で重要な役割を果たしていて、歌人としても、一視聴者としても楽しんでいます。朝ドラを観ている視聴者同士って、毎朝同じ時間に同じドラマを観て一日が始まるという、ちょっと特別な連帯感がある気がします。

 朝ドラをツイッターに投稿するようになったきっかけは、ヒロインの幼なじみ(貴司)が作る短歌を、ドラマを通して味わう中で、「この楽しさをみんなで共有したい!」と、感想や解説をツイッターに投稿し始めたのが最初。短歌は、解釈が一つではないのが面白いところで、いろんな風に解釈しては、その読み方を共有し合うのがまた楽しいんです。「今日のこの歌は、こんな風にも読めるよね」と、何気なくつぶやいた一言に大きな反応があったりして、いろんな人と一緒に、ドラマと短歌を楽しんでいる感覚。ドラマの放送と、現実と妄想がないまぜになっているような、不思議な日々を過ごしています(笑)

——登場人物に向けた短歌をツイッターに投稿したり、放送内容から妄想した“妄想短歌”でもファンや読者を楽しませています。

 この人物のキャラクターだったら、こんな風に詠むんじゃないかなと考えたりするのも、また楽しくて。「この人の歌も作って」というリクエストにも応えたりして、短歌を通じてドラマの解釈が広がる楽しさを味わっています。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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きっとこんな短歌で告白するんじゃないかって妄想を