池田:推薦枠はありがたくいただいています。うちの学校では生徒たちが中学・高校の中でやりたいことを発見して、自分の持った課題感を大学や学部で接続したいというのが希望としてあるんです。なので、たくさん推薦枠をいただけてこちらの選択肢が増えることはありがたいですし、生徒に多様な選択ができるようにさせていますね。

矢萩:保護者は、自身が学生だった頃の大学の評価に引っ張られてしまいがちだと思いますが、保護者的にまずまずの評価だったとして、受験生本人たちはどう考えているんでしょうか?

池田:大学の中には価値観が従来型の中間や期末試験の評定を前提にして指定校を決めます、というところもあります。成績基準だけでそのまま指定校に行くことは、実は結構危ない制度でもあると思います。要は、ほどんど経験や体験のベースがなく、やりたいこともない子どもたちが、行きたいと思っていない指定校で入ってしまう。今まで中間、期末だけで評価されてきたというのが成功体験になっているのに、大学に入ったら評価軸が全く違うし、大学1年からインターンをやる人もいる中で、自分は何をやっていけばいいのかわからないという子が出てきているんです。ただ、保護者は大学に合格させることが親の「最後の使命」みたいに思ってる方が多いんですよね。大学に行ったらもうお母さんはタッチしません、と(笑)。子どもたちはそれにも戸惑うんです。

矢萩:それはありますね。「大学に入るまでは親の言うことを聞いておきなさい」という家庭はとても多い印象です。親の権力というか決定権がものすごく強い。特に40代以上の保護者はそうですね。現実問題として経済的に扶養しているのですから仕方ない面もあると思いますが、「親がお金を出しているんだから、言うことを聞きなさい」というロジックはとても乱暴ですし思考停止していると感じます。今の時代にマッチしていないどころか、危険だと思いますね。

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