写真はイメージ(GettyImages)
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 春はスギやヒノキの花粉に悩まされることが多い花粉症ですが、秋も花粉症の症状にに悩む方が多くクリニックを受診されます。秋の花粉症の主な要因はブタクサやヨモギの花粉です。先ほどの全国調査でも、2019年におけるスギ花粉症の有病率は38.8%、その他の花粉症(イネ科やブタクサなどスギ以外の花粉症)の有病率は25.1%と高く、スギ花粉症の有病率もその他の花粉症の有病率も、スギ花粉症と同様に1998年から増加傾向にあることが報告されています。

 世界大百科事典によると古くは古代ローマの時代からすでに記載があったことが確認されている「花粉症」は、あらゆる植物の花粉が原因となってアレルギー症状を引き起こす疾患です。体内に入ってきた花粉をできる限り外に出そうとした結果、くしゃみや鼻水や鼻づまり、目のかゆみや涙や充血といったあらゆる症状が現れてきます。つまり、目や鼻から入ってきた花粉を私たちの体が異物であると認識し、体内に入れないように排除しようと必死に闘った結果なのです。

 私の場合、小学校の高学年になった頃だったと思います。春になると鼻汁と目の痒みに苛まれるようになりました。中学生に進級するとその症状はひどくなりました。マスクをしながらの自宅から最寄り駅まで20分ほどの自転車通学は特に辛く、涙と汗と鼻汁でマスクの中は濡れてしまい、学校に着く頃には目が真っ赤になっているほどでした。抗アレルギー薬を飲むと副作用である眠気に襲われてしまうことから、薬を飲まずに症状に耐えることで春を乗り切っていたことを覚えています。

 私の体に異変が訪れたのは高校を卒業した頃でした。急に目の痒みやひどい鼻汁といった花粉症の症状が全く出なくなったのです。それ以後、花粉症に悩まされることもなく、血液検査でアレルギー反応をチェックした際も、スギやヒノキ、カモガヤやブタクサなどの花粉に反応はなかったこともあり、「花粉症は完治した」と思い込んでいました。

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風邪ひいたかな?と思っていたら……