落合博満氏(右)と言葉を交わす野村克也氏
落合博満氏(右)と言葉を交わす野村克也氏

 3月に開催される第5回WBC。栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、第2回大会以来の覇権奪回を目指す。

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 過去のWBC監督を見ると、2006年の第1回大会は王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)が世界一、09年の第2回大会で原辰徳監督が連覇を飾った。13年の第3回大会は山本浩二監督でベスト4、17年の第4回大会は小久保裕紀監督(現ソフトバンク2軍監督)で2大会連続ベスト4と頂点に届かず。投打で豪華なタレントをそろえただけでは勝てない。国際大会の難しさを感じた野球ファンも多いだろう。

 名将と呼ばれる監督の中で、WBCと縁がなかった指揮官もいる。中日阪神楽天と3球団をリーグ優勝に導いた星野仙一氏はその一人だ。民放テレビ関係者は「星野さんがWBCで侍ジャパンを率いる可能性はあった」と振り返る。

 「星野さんは日本代表の監督に就任し、08年の北京五輪で金メダル獲得を目指しましたが、4位に終わったことで、風向きが変わってしまった。翌09年のWBCでの監督続投が既定路線だったが、世論から反対の声が高まり就任辞退に。NPBの監督は『負担が大きい』と懸念の声があったが、巨人の原辰徳監督に白羽の矢が立った」

 今回、テレビ、新聞、ネットメディアで取材する記者など20人にアンケートしたところ、「侍ジャパンの監督で見たい」という声が2番目に多かったのが6票の野村克也氏だった。南海、ヤクルト、阪神、楽天の監督を歴任。特に、「ID野球」で弱小球団だったヤクルトをリーグ優勝に4度、日本一に3度導いた功績は大きい。「監督の仕事で大事なのは人間教育、社会教育」とキャンプ中のミーティングで選手たちに野球だけでなく、人生に必要なこと、心構えを説いていた。当時、選手、コーチとして野村氏から教えを受けた指導者は、プロ野球界に多い。リーグ連覇を飾ったヤクルト・高津臣吾監督、阪神・岡田彰布監督、ロッテ・吉井理人監督、楽天・石井一久監督、日本ハム・新庄剛志監督……コーチ陣も各球団に多くの教え子がいる。

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