榊浩平(さかき・こうへい)/1989年千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。2019年東北大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている。共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)がある。
榊浩平(さかき・こうへい)/1989年千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。2019年東北大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている。共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)がある。

 スマホやタブレットを日常的に使ってオンラインに頼ることは、脳の領域のなかでも、思考の中枢とされる「前頭前野(ぜんとうぜんや)」をダメにしてしまう生活習慣であることが最新の脳科学から明らかになりつつあります。とはいえ、脳に悪いからとまったく使わないようにするのも難しいスマホ。どう付き合っていけばいいのかを、「脳トレ」でも著名な川島研究室の榊浩平先生(東北大学加齢医学研究所)に教えてもらいました。榊先生の最新刊『スマホはどこまで脳を壊すか』から一部抜粋・再編集してお届けします。

【スマホやタブレットなどの主な用途と置き換え例を紹介した図版はこちら】

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■私たちの生活はオンラインなしには成り立たないのか?

 本書では、オンライン習慣が持つリスクについて、科学的、医学的な根拠となる研究の結果をご紹介しながら明らかにしました。

 オンラインでは前頭前野がはたらかず、ものを覚えることができなくなり、誰かと心を通わせることもできません。幼いころからオンライン習慣を続けてしまうと、学力が下がり、脳の発達も止まってしまいます。大人になってからもオンライン頼りの生活で前頭前野をサボらせ続けてしまうと、少しずつ脳がむしばまれていき、使わない機能から失われていってしまいます。

 脳が最も発達する幼少期から、脳を使って機能を維持していくべき成人期までを通して、オンライン習慣を送ってきた人たちが65歳を迎えたとき、認知症になってしまう可能性が高くなるという最悪の未来まで見えてきています。

 そんなリスクだらけのオンライン習慣と、21世紀を生きる私たちはどのように付き合っていけばいいのでしょうか。

 考え方は至って単純です。オンライン習慣のリスクを遠ざけたいなら、インターネットを使わなければいいわけです。

 とはいえ、口で言うのは簡単ですが、実行に移すのは難しいものです。オンライン習慣にリスクがあることをわかっていながらも、なかなかやめられないという方々が多いのではないでしょうか。偉そうなことを言うからには、まずは自分がやって見せなくては説得力がありません。そこで自分を実験台にして、脱オンライン習慣が本当に可能なのか、実験をしてみることにしました。

 実験の様子は本書に詳しく書きましたが、実際に脱オンライン生活を体験してみるとたくさんの気づきがありました。私たちの普段の生活がいかにオンライン頼りになっていたのかを痛感しました。

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今日からできる脱オンライン習慣のススメ