亜細亜大時代の田中幹也
亜細亜大時代の田中幹也

 いよいよ今週キャンプインするプロ野球。ルーキーではやはりドラフト1位の選手に高い注目が集まるが、過去にも下位指名ながら1年目から活躍を見せている選手は少なくない。そこで今回はそこまで知名度は高くないものの、今シーズンが楽しみな“無印ルーキー”をピックアップして紹介したいと思う。今回は野手編だ。

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 まずチーム事情を考えても、最も一軍定着のチャンスが大きいと考えられるのは田中幹也(亜細亜大→中日6位)と福永裕基(日本新薬→中日7位)の2人だ。同じ内野手だがその持ち味は全く異なる。田中の持ち味は守備と走塁。166cmと小柄だが、とにかく打球に対する反応の速さと軽快なフットワークは抜群で、広い守備範囲とアクロバティックなプレーは菊池涼介(広島)を彷彿とさせるものがある。ショート、セカンドの両方でプレー経験が豊富なのもプラス材料だ。また相手の隙を突く走塁も大きな魅力で、大学野球で最高峰のレベルにある東都一部で、リーグ戦通算75試合出場で48盗塁という数字は見事という他ない。非力な打撃と3年秋に潰瘍性大腸炎を患っただけに体力面は気になるものの、守備と走塁だけでも大きな戦力となりそうだ。

 一方の福永は強打が魅力の右打者。専修大時代までは広角に打ち分ける上手さが光るタイプだったが、社会人で見違えるように長打力がアップし、大学卒4年目で念願のプロ入りをつかんだ。フォロースルーの大きいスイングで打球に角度をつけるのも上手く、フェンスの高いバンテリンドームナゴヤでも柵越えが期待できる。今年で27歳ということを考えても1年目からが勝負になるだろう。中日はトレードで阿部寿樹、京田陽太が移籍し、さらにバックアップ要員だった三ツ俣大樹も自由契約(ヤクルトが獲得)となり、二遊間はかなり手薄な感は否めない。2位指名の村松開人(明治大)ももちろん候補だが、守備と走塁なら田中、長打力なら福永が上回っているだけに、彼らがレギュラー争いに加わる可能性も十分にありそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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