学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、教育やキャリアのことなど、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、誰もが一度は疑問に思ったことがあるかもしれない「学校の勉強は役に立つのか?」問題について聞いてみた。

【廣津留すみれさんの写真の続きはこちら】

* * *

Q. 古文や漢文など学校の勉強は実社会で役に立ちそうにないのに、なんで勉強しないといけないんだろうと思ってしまいます。廣津留さんはどう思いますか?

A. 実社会で役に立つか立たないかは、一旦横に置いて考えるといいと思います。学校の勉強って、私はタスク処理のスキルを磨く機会だと思ってやっていました(笑)。社会に出たら毎日タスクがあって、To Doリストはいっぱいです。そのなかには無駄に思えるものだってあるわけですよね。古文や漢文は勉強しなくても生きていけるけれど、学生としてのTo Doリストに入っているもの。効率よくタスクをこなすスキルを身につけるという気持ちで取り組んでみてはどうでしょうか。古文の単語をいかにたくさん覚えられるか、どうすれば効率よく問題集を解き終えられるのかなど、一つずつを何かのミッションのように考えていくと、ゲーム感覚でクリアしていくことができるんじゃないかなと思います。例えば古文の「いとおかし」という単語を覚えるにしても、どうやったら楽しく覚えられるかを考える。一つひとつのミッションをいかに楽しんでクリアするかを考える習慣をつけると、実社会でもどんなタスクに対しても楽しんで取り組めるようになると思います。

 私の場合、性格的にやるべきことは全てこなさないと気が済まないタイプ。学生時代にも、バイオリンだけをやるために他のことを全部すっ飛ばしているとは絶対に思われたくなかった。子どもの頃、宿題の問題集を解くときに母から「答えを全部写して提出すればいいじゃない?」と言われたんですが(笑)、私は真面目に解きたいし順番にやっていきたかったんです。学校の勉強は効率よくやるべきことをこなしつつ、妥協せずにテストでも満点を目指す。その上で好きなことをやっているほうが説得力もありますし、先生も文句を言えないだろう!と思っていました(笑)。

著者プロフィールを見る
廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

廣津留すみれの記事一覧はこちら
次のページ
廣津留さんの苦手科目の勉強方法は?