佐藤輝明(左)、松井裕樹
佐藤輝明(左)、松井裕樹

 昨年末に行われた第18回NPBジュニアトーナメントは、阪神Jr.が12チームの頂点に立った。この大会からは、過去に松井裕樹(楽天)や佐藤輝明(阪神)ら13人のドラフト1位選手が輩出している。「学童野球」の実力度を追跡してみた。

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 横浜スタジアムでロッテJr.の三浦大我投手のストレートが電光掲示板で「129」を表示したときには観客席からどよめきが起こった。しかし、神宮球場からは日本ハムJr.の左腕・竹内樹生投手が最速130キロで大会初のノーヒットノーランを達成したとの情報が入った。1人の投手が1日に投球できる球数は70球以内。優勝した阪神Jr.で113キロ前後のストレートを投げ込んでMVPに輝いたのは、リリーバー・浅居煌星投手だった。

 全国から選ばれし「スーパー学童」のプレーは、野球関係者の耳目を集める。なぜなら、過去12回の大会出場選手の中から、育成選手を含めプロ77人(1大会あたり約6.4人)が誕生、うちドラフト1位は13人(1大会あたり約1.1人)を数えるからだ。

 各チームで、NPBジュニアトーナメントに向けて、セレクションが行われる。つまり、もともとの所属チームは同じでも、NPBジュニアではヤクルトとDeNA、阪神とオリックスなどに分かれることもある。これだけ精鋭が集結すると、現プロ野球選手の中には、NPBジュニア時代のチームメートやライバルだった例も多数ある。

 第1回大会の2005年、ロッテJr.で高山俊(15年阪神1位)は、近藤健介(11年日本ハム4位)、佐藤優(15年中日2位)、船越涼太(15年広島4位)とチームメートだった。つまり1チームから4人もプロ入りを果たしたのである。このロッテJr.は予選リーグでソフトバンクJr.をくだしているのだが、ここには高城俊人(11年DeNA2位~22年で引退)がいた。実績を残した選手に、すでに引退者が出るほど、大会は歴史を重ねてきた。

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