自作の銃を持つ山上徹也容疑者
自作の銃を持つ山上徹也容疑者

 注目されるのは、山上容疑者が動機の一つとして供述していた、

「母親が旧統一教会に多額の寄付をして、家族が崩壊した」

 といった旧統一教会のかかわり、背景事情について、どのように審理されるかだ。

 山上容疑者は、安倍元首相が、旧統一教会の関連団体へのビデオメッセージにも応じていたことなどから、旧統一教会に深く関与していたと思い、凶行に及んだとされている。

 事件を機に、旧統一教会の“カネ集め”が問題視され、不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)も成立した。

 郷原氏はこうみる。

「山上容疑者が殺人を実行したのは事実で、責任能力があることもわかった。でも検察は、旧統一教会についてはあまり触れない立証の仕方になるのではないでしょうか。一方、弁護側は、旧統一教会が関連しての犯行という流れを主張するはずです。山上容疑者が旧統一教会のカネ集めで追い詰められ、その結果、犯行に結びついたという弁護側立証を裁判所がどこまで認めるかがポイントになると思います」

 山上容疑者の母親が旧統一教会にのめり込み、自己破産にまで追い込まれた。山上容疑者も不遇な人生とならざるを得なかったことは、これまでの供述などからも明らかだ。切羽詰まった山上容疑者が、旧統一教会を追及するジャーナリストに手紙を送っていたこともわかっている。

 また、ツイッターでも、

「統一教会が何十年も前から社会問題化し、もはや反社会的組織であることは覆しようもない」

「憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知ったことではない」

 などと、激しく批判を展開していた。それも弁護側にとっては有力な証拠になるとみられる。

 郷原氏は、ジャーナリストで元参院議員の有田芳生氏や、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の紀藤正樹弁護士ら旧統一教会問題を追及してきた専門家も「証人の候補になるはず」とみている。

 山上容疑者を子どもの時から逮捕後までサポートしてきたのは元弁護士でもある伯父だ。

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